Image: Ghana Government
1. まずはガーナの宗教をサラッと
まずはガーナの人々の宗教を表にして簡単にみてみましょう。これで「どの宗教をどれだけの割合のガーナ人が信仰しているのか」がサラッとわかります。
宗教 | 2000年の数値 |
キリスト教 | 68.8% |
→ペンテコステ派/カリスマ派 | 24.1% |
→プロテスタント | 18.6% |
→カトリック | 15.1% |
その他 | 11% |
イスラム教 | 15.9% |
伝統宗教 | 8.5% |
無宗教 | 6.1% |
その他 | 0.7% |
宗教 | 2010年の数値 |
キリスト教 | 71.2% |
→ペンテコステ派/カリスマ派 | 28.3% |
→プロテスタント | 18.4% |
→カトリック | 13.1% |
その他 | 11.4% |
イスラム教 | 17.6% |
伝統宗教 | 5.2% |
無宗教 | 5.2% |
その他 | 0.8% |
ガーナの中で最も多い信仰者を誇る宗教はキリスト教です。続いてがイスラム教となっています。上の表の2000年のデータと2010年のデータを比べると伝統宗教の割合が減り、キリスト教とイスラム教の割合が増えていることがわかります。1960年に実施された調査では、イスラム教徒は25%で、キリスト教徒は41%でしたので、この時から考えると、イスラム教徒の数が減り、キリスト教徒の数は大きく伸びています。
1960年と言えばガーナが独立を果たした年1957年から3年後のことです。もともとはイギリスにより植民地とされていましたが、これが終わりを迎えたのです。独立国としての道を歩む中でも、海外からもたらされたキリスト教が、どんどんと成長している様子は面白いものです。経済、教育(「裕福なガーナ人がイギリスに留学する」など)など、あらゆる面からも言えることですが、未だにガーナはイギリスとの強い繋がりを持っているという事実を考えずにはいられません。
2. ガーナ人は宗教に寛容?
ガーナに滞在してきた経験、ガーナ人と関わってきた経験上…「この国では、かなり「宗教の自由」が大事にされている」と私は言い切ります。キリスト教徒が圧倒的多数を占めますが、それでもイスラム教徒の生活様式が尊重されています。例えば首都アクラの場合を考えてみましょう。沿岸部からは少し離れ、北上したところに「メディナ」というエリアがあります。何を隠そう、ここはイスラム教徒のガーナ人が多く住む場所なのです。
外を歩いているだけで、イスラム教徒がたくさんいることがわかります。というのも礼拝のために水で手や顔などを道路沿いで洗っている人をよく目にするからです。彼らが使うのは独特な縞模様が施されたプラスチック製の「やかん」です。この光景を見ると、いかにも「ガーナに帰ってきたな」と思うものです。さらにメディナという名前も、イスラム教徒の町の名前として、典型例です。
ここで面白い話があります。メディナはイスラム教徒がたくさん居住するエリアです。しかし、ここのレストラン「ラス・パルマス(他にも色々な場所にチェーン展開する店)」にはしっかりとビールが置かれています。頻繁ではありませんが、ここでビールを飲む人も時々見かけます。このように、宗教が緩やかに共存しているのがガーナの素晴らしい特徴でしょう。
さらに、アクラで夜中に散歩をしていると(遠出から帰った時のバスの到着時間が深夜だったので)ラマダンの時期だったこともあり、多くのイスラム教徒が外の屋台で食事をしていました。ここまでの話は、首都アクラの中でも北のエリアの話です。アクラ全体を見ると、キリスト教徒が多数を占めるでしょう。
3. ガーナ北部はイスラム教徒の地?
例えばガーナは大きく「イスラム教徒のエリア」と「キリスト教徒のエリア」に分けることができます。簡単に言えば、ガーナの北部では、イスラム教徒が大多数を占めます。なので、首都アクラから、クマシなどを通り、さらに北のタマレといった町まで行けば…その瞬間に違う国に来ているかのような変化を感じることができます。そのような意味では、完全に宗教が混ざり合って暮らしている訳ではないのですね。
タマレに住むほとんどのガーナ人はイスラム教徒で、町を歩けば、たくさんモスクがあることもわかります。知れば知る程、ガーナの宗教は面白いものです。
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