【え?去勢した羊が語源?】「bellwether」の意味と使用例(法律と投資分野で大活躍)

 

今回は非常に面白い英単語「bellwether」を考えてみます。意外な「本人には迷惑そうな」語源があったり、法律や投資の分野で広く使われていたり…。この単語は、あらゆる人の「判断」や「自立心」を支えていると言っても過言ではありません。それでは、注意点、意味、語源、使用例などを、好奇心の赴くままに見てみましょう。

 

注意!「bellwether」は「-weather」じゃない

 

まずは「bellwether」の注意点として、末尾は「weather(=天気)」ではありません。そもそも「天気」と関係のある言葉ではないので、誤解をしないようにしましょう。正しくは「wether」と記述します。これの意味については、以下をご覧ください。

 

「bellwether」の語源

 

分解して考えてみましょう。「wether」という言葉は、古英語(Old English)で「去勢した羊(castrated sheep)」を意味します。そして「bellwether」全体では、首に鈴のついた羊です。これは、ある牧草地(pasture)から別の牧草地へと群れを率いる役割を果たします。これが転じて、一般的には「道を導いたり、示したりするもの」を意味します。

 

様々な分野での「bellwether」使用例

 

続いては、どんな分野で「bellwether」が使われているのか見てみましょう。

 

法律における「bellwether」

 

訴訟について「bellwether case」というと「先にあった、先例としての役割を果たす訴訟」を意味します。裁判の世界では、以前にあった似たような判例を探すことが重要であり、それに照らし合わせて多くの判決が下されるものです。ですので、この「bellwether case」は、後世に非常に大きな意味をもたらすことになります。

 

また、「bellwether trial」という概念もあります。これは、不法行為(torts)法においては、広く争われている問題を試すことを意図した、テストケース(試訴)という役割を持ちます。同じ当事者(または当事者グループ)に対して行われた大量の訴訟の中から抽出した事例を扱います。医療機器や自動車の欠陥により、数千人が被害を被った場合など(集団訴訟)に使われるようです。確かに、一部を抽出してそれについて考えてみるのは、実に理にかなっていますね。

 

投資における「bellwether」

 

投資の世界では「bellwether」は「指標銘柄」を意味します。これは、ネット上で日本語の十分な説明があるので、そのまま引用したいと思います。

 

国債の市場において、他の銘柄も含んだ全体の値動きを代表する銘柄(コトバンク

 

これも、語源通りであることがわかります。どの分野であっても、「道を導いたり、示したりするもの」というコアの意味があり、それが状況に応じて少しづつ変化しています。

 

好奇心:羊の去勢と鈴について

 

ちなみに、なぜ去勢をするのかという部分にも調べてみたところ、こんな面白いことがわかりました。去勢された羊は発情せず、性欲の低下は「晩秋から初冬までの継続的なエネルギー摂取」を促進し、その結果、著しく寿命が延びる…とのこと。これが、実際に、語源とどれだけ関係しているかはわかりませんが、このように安定した、そして寿命の長い羊を、目印として選ぶとすると、これもまた、非常に理にかなった考え方だと言えそうです。

 

鈴については、これをつけることで、遠くから聞こえる音が羊飼いに伝わり、群れが歩き回る様子を把握できるようになる…とのこと。羊からすれば、取られたり、つけられたり、たまったもんじゃないかもしれません。

 

 

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