【危険なの?】飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点(+海外大手機関の見解)

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避けるための要点と、海外大手機関による見解のまとめをご紹介します。ちまたでは、飛行機は「密な空間であるため感染しないか心配…」といった声が聞かれますが、本当のところはどうなんでしょうか。

 

飛行機がそもそも、コロナウィルスに感染しやすい環境なのかそれとも安全なのかという疑問に迫りながら、具体的な感染対策を一挙公開します。その後、後半では、海外大手機関による見解から学びを深めます。

 

Useful source: CNBC, TODAY, The Washington Post

 

パート1. 飛行機内でのコロナウィルス対策

 

1. 手洗いと消毒をする

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

航空輸送を専門とする医療専門家はCNBCの取材に対し、フライト中の新型コロナウイルスの感染から身を守る上で、手を清潔に保つことが最も重要であると話しています。

 

正しい手洗いはウイルス感染から身を守るのに最も効果的な対策の一つです。CDCは「水と石鹸で最低20秒間かけて頻繁に、特にトイレに行った後、食事の前、鼻をかんだり、咳をしたり、くしゃみをした後は手洗いをすること」を推奨しています。

 

2. 咳への対処法を知る

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

咳やくしゃみをする時はティッシュを当てるか、それができない場合は肘を曲げて口を覆いながら行い、すぐに手を洗いましょう。そしてもちろん、体調がよくない場合は飛行機に乗るのをやめましょう。

 

3. 具合が悪い人がいたら知らせる

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

機内で近くに具合の悪そうな人がいた場合、客室乗務員に知らせてください。周囲の感染リスクを抑えるために感染の疑いのある人を隔離するための決まった手順が存在するはずです。

 

4. 窓側の席を選ぶ

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

エモリー大学の行った調査によると、感染をできる限り避けたいのであれば、ウイルスの循環が少ない窓側の席が最適ということです。

 

エモリー大学の看護学部教授で、2年前に出版された、機内での呼吸器疾患の感染に関する研究論文の筆頭著者であるVicki Hertzberg氏は、ワシントン・ポスト紙に対して「飛行機に乗る際の私の戦略は、窓際の席を選んで席を立たないことです」と話しています。

 

5. 身の回りの除菌をする

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

トレイテーブルやアームレスト、シートベルトバックル、ヘッドレスト、スクリーン、リモコン、シートポケットなどを含め、自分の身の回りのものを除菌シートできれいにすることも効果的です。

 

また、シートが硬く通気性のない素材か、レザーか、人造皮革かといった、素材については留意する必要があります。これらの素材の場合は除菌しても問題ありませんが、布張りをしたシートの場合、座席が湿って、ニューヨーク・タイムズ紙によると「菌を殺すどころか広げてしまう」ことになりかねません。

 

一方、タッチスクリーンなどを除菌する際は、付着した飛沫が手につき、顔などに移ってしまわないよう、手を覆うようにしてティッシュや除菌シートを持つように気をつけしましょう。

 

6. マスクを着用する(フェイスシールドも可)

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

コネチカット州のニューヘイブン大学保で公衆衛生の助教授を務めるAlvin Tran氏は「機内だけではなく、飛行機を降りた後やロビーで待っている間も、常にマスクを着用してください」と警告しています。

 

フェイスシールドなどでさらに守りを固め、機内での安全性を高めることもできます。

 

新型コロナウイルスは粘膜に触れることで感染することが分かっていますが、目もその一部です。そのような意味で、フェイスシールドの着用は決して無意味ではありません。特に人が行き交う、リスクの高い場所では、保護が少ないよりは過剰なくらいの方が良いでしょう。

 

 パート 2. 海外大手機関の見解

 

続いては、MIT MedicalKHNIndependentの見解(そして、それぞれでのインタビューで紹介されている情報)をご紹介します。

 

1. 飛行機の性能(参考:MIT Medical, KHN)

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

一般的に商用旅客機の空気処理システムの性能は非常に高く、数列先のシートに座っている人の飛沫を吸い込む可能性は低いとされています。

 

飛行機内の空気の話となると、当然、通路を行き来する乗客や客室乗務員によって空気の流れが影響され、浮遊微小粒子の動く方向が変わることもあります。また、商用旅客機に使用されているHEPAフィルターはこのウイルス大の粒子の99.97%を除去できるとは言え、飛沫したものを、他の人が吸い込んでしまう前に全て捕らえる保証はありません。

 

しかし、こんな面白い研究結果もあります。国を跨ぐフライト中の飛沫を媒体とした呼吸器系疾患への感染を調査した2018年の研究では、インフルエンザやその他の飛沫感染する呼吸器系疾患の患者の両隣から2席以上離れた座席、もしくは前後1列以上離れた座席の乗客への感染リスクが極めて低いことがわかっています。

 

しかも、これはマスクを着用せずに行った実験の結果です。

 

航空会社が全ての乗客および客室乗務員に、飛沫が空気中に飛散する前にキャッチできるマスク等の着用を義務付けた場合、安全性はさらに高まります。マスクが感染防止に効果的であることは実際に証明されています。

 

新型コロナウイルスの流行初期に、ある男性が空咳をしながら武漢からトロントへのフライトを利用し、その後新型コロナウイルスに感染していたことが明らかになりました。フライト中、その男性はマスクを着用していたため、他の乗客に感染者は出ませんでした。

 


 

専門家によると、航空会社が公衆衛生の専門家の提唱する予防策を講じている場合、機内で新型コロナウィルスに感染するリスクは比較的低いということです。ちなみに、ここで言う予防策とは、マスク着用の徹底、利用可能な座席の間にスペースを設けること、そして症状が見られるかどうかという乗客の検査です。

 

航空会社各社は商用旅客機には、アメリカ疾病予防管理センターの推奨する、病院の隔離病室で使用されるエアフィルターであるHEPAフィルターが装備されていることを宣伝しています。HEPAエアフィルターは浮遊微小粒子の99.97%を捕らえ、ウィルス拡散のリスクを大幅に低減してくれる代物です。さらに、機内の空気は1時間に10回から12回完全に入れ替えられるため、通常の建物よりも清潔だと言えます。

 

高頻度な換気のおかげで、数列先のシートに座っている人からウィルスが感染する可能性は低いでしょう。ただし、近くに座っている人から感染する可能性については否定できません。

 

2. 危険の可能性(参考:KHN)

 

ポートランド州立大学工学部の学部長を務め、室内空気汚染の研究をするRichard Corsi氏によると、「機内で最も感染のリスクが高まるのは、運悪く感染者の隣、前、もしくは後ろ、あるいは通路を挟んで隣に座ってしまった場合」とのこと。

 

飛行機には高性能なフィルタリングシステムがあるものの、これだけでは、感染を完全に防止することはできません。機内の中央の席を空席にしていない場合や、用心深くマスクの着用を強化していない場合、飛行機内での移動にはリスクが伴うとされています。

 

ちなみに現在、中央の席を空席にして運行している航空会社には(アメリカであれば)デルタ航空、ハワイアン航空、サウスウエスト航空、ジェットブルー航空などがあります。

 

3. 荷物と感染対策(参考:Independent)

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

家族以外の人と一定の距離を保ち、定期的に手洗いをするか消毒液を使用し、マスクを着用することが非常に重要です。しかし、他者との接触を避ける方法は他にもあります。例えば、事前にオンラインでチェックインし搭乗券を印刷しておき、荷物はできるだけ手荷物だけに抑えるといった作戦が考えられます。

 

しかし、米運輸省の方針は正反対です。運輸省は「飛行機の乗り降りの流れを加速し、感染のリスクを低減する」ために、全ての荷物をチェックイン時に預けることを推奨しています。

 

ライアンエアーは逆の意見を主張。旅行の荷物を手荷物だけに抑えることで、乗り降りに際して荷物に触れる人の数を大幅に削減することができるとしています。

 

同航空会社のCEOであるMichael O’Leary氏はインディペンデント紙の取材に対し、「当社ではお客様に対し運輸省のアドバイスとは真逆のことを推奨しています。できる限り機内持ち込み荷物とし、預け入れ荷物を最小限にするようお願いしています。もちろん本当は預け入れ荷物による利益の方が大きいのですが」と話します。

 

さらに、こう続きます。「当社の理論では、チェックインカウンターから搭乗ゲート、そして到着先の空港までの間に、8人の人間が預け入れ荷物を取り扱い、手で触れることになります。一方、手荷物の場合、乗客が常に携帯します」とのことです。

 

また、荷物を預けなければ到着後に多くの人が密集するベルトコンベアの周りに集まる必要もありません。これは運輸省の推奨する「空港を速やかに離れる」というアドバイスに従うことにつながります。

 

ライアンエアーとイージージェットは通路にできるトイレの待機列を避けるための新たなポリシーを発表しました。ただし、トイレを一切利用しないことが可能であれば、一番リスクは低くなります。加えて、機内をたくさん移動する人の方が、感染のリスクが高いことが研究によって明らかになっています。

 

4. どの座席が一番安全なのか(参考:Independent)

 

「国を跨ぐフライト中の飛沫を媒体とした呼吸器系疾患の性状、移動、伝染」を追った2018年の研究では、アトランタ、エモリー大学の研究チームが窓側の座席の乗客は他の座席の乗客と比べ、他の乗客との接触が非常に少ないことを明らかにしました。

 

これには、、機内を移動する割合が通路側の人が80%なのに対し、窓側の座席の人は43%と非常に低いことが大きく関係しています。つまり、潜在的なウイルス感染者と接触する可能性が低いということです。

 

同研究の図表の中に、乗客が座っている座席ごとの特定の感染者との接触確率を示したものがあります。感染者と同じ列に座っている乗客を除くと、窓側の座席に座っている全ての乗客の接触確率は5%以下となっています。その多くは0〜1%と、中央や通路側の座席の乗客と比べて非常に低い結果となりました。

 

このように窓側の席を選ぶことにより感染リスクは低減できる可能性はあります。機内で動き回る頻度が低いほど、ウイルス感染者との接触確率が低くなる、という部分をしっかりと頭に入れておきたいものです。

 

5. コロナにまつわる思い込み(参考:Independent)

 

飛行機内でコロナウィルス感染を避ける6の要点

 

他の交通手段と同様にもちろんリスクはあります。最近のCDCの調査では、11,000人の乗客がフライト中に新型コロナウイルスにさらされたと推定しています。しかし、データ不足により、そのうちどれだけの人がウイルスの感染源となったかは断定できていません。別の調査では、あるビジネスクラスの乗客が感染源となり、14人が新たに新型コロナウイルスに感染したことが明らかになっています。しかし、この研究はマスク着用義務が広く適用される前のものです。

 

一方、上述の研究は機内でウイルスに感染するリスクはかなり低いことを示しています。

 

感染者と同じ列もしくは通路を挟んで隣に座っている乗客を除き、乗客の大半において実際にウイルスが感染する確率はたったの0〜1%でした。多くの旅行客は、全ての乗客のくしゃみや咳の飛沫を含んだ「同じ空気」が機内を循環しているというイメージから、飛行機に乗ったらウイルスに感染するのではないかと考えているようです。

 

確かに、雰囲気やイメージとして「特定の汚れた空気の中に閉じ込められる」ような印象を抱く気持ちはわかりますが、ここまでの情報を総合して考えると、他の交通機関に比べて、飛行機に対して過度な恐怖を覚えるのは、理論的とは言えません。

 

さいごに

 

まだまだ、コロナウィルスのことを考えた生活が必要とされるでしょう。もちろん、旅行については、特に、このコロナの脅威が大きな意味を持ちます。外出せずに、できるだけ人と交わらないことは、確実かつ優れた観戦予防策です。

 

しかし、もし、飛行機での移動がどうしても避けられないと思われる場合には、今回の記事でご紹介したように、データに基づいた安全性の測定をしてみることをおすすめします。私の個人的な印象は、思ったよりも(多くの人が抱きがちなイメージに反して)飛行機における感染の確率は低いということです。

 

ただし、これは決して「飛行機は安全だから、何も気にしないで利用しましょう」という意味ではありません。個々が対策をしっかりと実施したうえで、最小限にリスクを抑える努力は欠かせませんね。

 

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