今回は「compare to」と「compare with」の違いについてです。気になりすぎて眠れないので、徹底的に調べました。
どちらも、非常に似通っているように思えますよね?実際に、ネイティブでもハッキリとした違いが理解できない人もいるくらい(けっこう曖昧)ですから、無理もありません。それでは、実際にどのような意味の違いがあるのか、どんな使い分けをすべきなのか、考えていきましょう。ちゃんと理解して、ぐっすり眠りましょう。
1. 「compare with」の意味
まずは「compare with」からです。こちらの方が多く目にする、または、使うのではないでしょうか。普通、私たち日本人が「compare」の意味を尋ねられると「比較する」という日本語を思い浮かべるはずです。この意味こそが「compare with」です。ですのでもし「compare Tokyo with Seoul」だとシンプルに「東京とソウルを比べる」という意味です。これを踏まえた上で、続いては「compare to」を考えてみましょう。
* 「compare with」についてのもうちょっと深い洞察は後半で登場します。
2. 「compare to」の意味
続いては「compare to」の意味です。
これについて、『Bryson’s Dictionary of Troublesome Words: A Writer’s Guide to Getting It Right』に明快な説明がありましたのでご紹介します。
Compare to should be used to liken things…
つまり、「compare to」は、何かを何かに例える/なぞらえる時に使うべきだ、ということです。目からウロコですね。他にもいくつもの本やサイトで説明を探しましたが、はっきりとしないものが多く…こちらのクリアな説明に出会った時には、飛び跳ねるほど喜びました。例を挙げましょう。「She compared Paris to Prague」だと「彼女は、パリがプラハに似ていると感じた」という意味になります。ですので「compare to」については、一度「比べる、比較する」という誤解を招く日本語訳を頭から掃除してしまうのが、いいのかもしれません。
3. 「compare with」と「compare to」の違い
ここまでを暫定的にまとめると、以下のようになります。
- compare with = AとBを比較する/比べる
- compare to = AをBになぞらえる(AがBに似ていると考える)
また、先ほどの本の中で「compare to」はほとんどの場合、比喩的な表現で(in figurative senses)使われるとのことで、ラブレターか詩でも書いていない限り(ロマンチックな方は要チェック)は、概ね「compare with」を使うことになると説明されています。
4. とは言え…他の区別の仕方もある
これで一件落着…と言いたいところですが、そんな簡単なテーマではありません。『The Elements of Style』では、以下のような区別がされているようです。
To compare to is to point out or imply resemblances between objects regarded as essentially of a different order;
to compare with is mainly to point out differences between objects regarded as essentially of the same order.
つまり、こういうことです。
- 「compare to」は、本質的に異なる性質のものについて、類似点を指摘または暗示する
- 「compare with」は、本質的に同じ性質のものについて、違いを指摘する
ですので、種類の違うものについて「ここが似ているよ」と言うのが「compare to」で、似ているものについて「ここが違うよ」と言うのが「compare with」ということになります。先ほどの説明とリンクしている部分がありますね。
例えば、先ほど(『Bryson’s Dictionary of Troublesome Words…』)は「compare to」=「なぞらえる」でしたので、こちら(『The Elements of Style』)の説明で言うところの「類似点を見つける」と合っています。
さいごに
色々と調べる中で、各ソースの説明が矛盾したらどうしようかと、ちょっとだけヒヤヒヤしましたが(少なくとも私の中では)これら2つのソースの説明がお互いの理解を助け合っているような気がしています。
今回の学びをまとめますと、以下のようになります。
compare to
- 訳語としては「なぞらえる」が使える(「比べる/比較する」よりも違いが出せて理解しやすい)
- 本質的に種類の違うものを比べて、それらの類似点について言う時に使える
- ラブレターや詩では比喩的に使われる(この場合特に「compare with」との違いが歴然)
compare with
- 皆さんご存知の「比べる/比較する」という訳語がぴったり当てはまる
- 本質的に似ているものを比べて、それらの間にある違いを示す時に使える
- 詩的な表現をしない限りは、多くの場合、こちらを使っておけば間違いない(『Bryson’s Dictionary…』)
ちなみに「compare to」と「compare with」を“比較する”と言う時には(似ているものを比べて、わずかな違いを明らかにするという意味で)「compare with」が使えるということになりますね。
どちらの方が多く使われてるの?
気になったので、「compare to」と「compare with」のどちらの方が多く使われているのか調べてみました。正確な方法とは言えませんが、Googleでそれぞれを検索して、該当する検索結果の数を見てみました。
- compare to = 1,650,000,000件
- compare with = 1,560,000,000件
「compare with」の勝利ですが、圧勝というわけではありませんね。ただ、この方法だと、両方に同じページが重複して表示されたりして、明確な違いの把握とまではいきません。
何はともあれ、私は、これから日本語で「比較してみました」と言うたびに「to か with かどっちだろう」と考える体になってしまいました。これはこれで眠れません。皆さんもお気をつけください!
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