今回は、「bivalent」という英単語を扱います。あまり日本で知っている人はいないかもしれません。でももし、「あなたは、けっこう“bivalent”ね」と言われたら、落胆するか、自己反省するか、どちらかを選ぶことになるでしょう。いや、そんな自分を貫くのが「bivalent」なあなたにはお似合いかも。
ハテナが頭に浮かんでいてもご安心を。以下で詳しくご紹介します。
「bivalent」の発音と意味
「bivalent」の発音はバイヴェイラントです。トリッキーですね。発音記号は「baɪvéɪlənt」となります。ぜひとも発音記号は読めるようになっておくことをおすすめします。というのも、カタカナでの説明には限界があります。特に(eがひっくり返ったかたちの)「ə」は「シュワサウンド/schwa sound」と呼ばれています。これは、かなり控えめに弱く発声します。
「bivalent」の辞書的な意味
「bivalent」の意味は、辞書的には(化学分野で使う言葉として)「二価の」です。私はまず使いません。特定の業界で仕事をしている人しか使わないでしょう。これよりも大事な(と私が思っている)のが次の意味です。
「bivalent」の気になる意味
まずは、例文からご覧ください。Harvard business reviewからの引用です。
Many of us have come across a Joan, who is what psychologists would call bivalent, a person who splits the world into friends and enemies, seldom examining their own behavior and attitudes.
日本語にすると、以下のような意味になります。
多くの人が、心理学者が言うところの“二価”の人間─つまり世界を敵と味方に分けて、自分の行動や態度をめったに検証しない、ジョーンのような人─に出会ったことがあるはずです。
ジョーンというのは、この記事の中で登場する、頑固者の名前です。堅物で、人の意見を聞かず、自分の考えも絶対変えない人。そんな人を心理学の言葉で「bivalent」と表現するようです。
直訳で「二価の人間」としてはいますが、正直、しっくりきません。この文言が、(化学は別にして)定着しているとも思えません。ですので、もし直訳を選ぶのであれば、符号で囲う、注釈を加えるなどの措置が必要になると思います。
とにかく、ニュアンスは感じ取ってもらえたと思います。これは私の推測の域を出ませんが、自分の世界と他者の世界を二つに分断して、それを行き来しないものと捉える…という意識が介在しているのかもしれません。
「bivalent」の対義語も理解しておく
「bivalent」の対義語を見ることで、さらに、この言葉の立ち位置を明確にすることができます。「bivalent」の対義語は「ambivalent」です。こちらの単語の発音は「アムビヴァレントゥ」であり「バイヴァ…」ではないのでご注意ください。
そして肝心の意味ですが、「相反する感情を持った」です。これはある意味で、迷いとも取れます。どっちつかずとも見ることができるかもしれません。
「ambivalent about…(人)」とすると、その人に対して「良いとも悪いとも言えない(どちらもはらんだ)感情を抱いている」という意味になります。
これの反対が「bivalent」ですので、より「白黒はっきりした」状態が感じられます。かたくて、そう簡単には“曲がらない”様子ですね。
頑固という意味ではこんな言い方も
関連して、こんな言い方もできるかもしれません。「頑固だ」と言いたいのであれば、「opiniated」という言葉が便利です。意見が固まっていて、それを変えない人を形容するのに使えます。
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