今回は「get away with」の意味に徹底的に迫ります。告白します。日本人的には、ちょっと厄介な表現です。これの理由は記事の中で一つ一つ説明しますが、意識しないと誤解が生まれがちです。だからこそ、わかると気持ちがいいもの。それでは、参りましょう!
「get away with」の意味
まずは辞書にある意味からです。「get away with」には「〜をして逃げおおせる」という意味があります。何か悪いことをしても捕まらずに、逃げ切る、やってのける、ということです。
もちろん、これだけ紹介して終わりというわけではありません。これは、あくまでも辞書にある説明です。これだけでは、しっくりこないこともあります。
ちなみに、このように「〜をして逃げおおせる」というのは、何か悪いことについて使います。「get away with murder」と言うと、「とがめられずに、好き放題をする」という意味になります。
『How to Get Away with Murder』という映画がありますが、これの邦題は『殺人を無罪にする方法』です。映画そのものが、殺人事件について無罪を勝ち取ることを主題としているので、それをくみ取って「好き放題」ではなく「殺人を…」としたのでしょう。
日本人が「get away with」を誤解しがちな理由
続いては、日本人が「get away with」を誤解しがちな理由です。私なりにいつも思うのは「away」と「with」の組み合わせです。例えば、こんな理解をしていたとします。「away」が「離れて」で…「with」が「…と一緒に」です。だとすると、この相反する2つの言葉が合わさって、「離れて、でも、一緒に」のようなごちゃごちゃした意味を連想させてしまいます。
ここからが正しい理解です。たしかに「away」が「離れて」で…「with」が「〜と一緒に」で間違いではありません。こう考えてみましょう。「get away」は「立ち去る」という意味です。続いて「with」はご存じの通り「〜と一緒に」です。これらを合わせると「〜と一緒に立ち去る」といったニュアンスがわかるはずです。
これが発展して「…をしておいて(何事もなかったかのように)立ち去る」→「〜を(捕まらず、とがめられずに)やってのける」という意味になります。このようにして考えれば、なんとなくでも理解ができるはずです。
ちなみに、ここでは理解のために「with」を「〜と一緒に」としていますが、今回のように(結果的に)行動の対象となるものに「with」を使うことはあります(例:「deal with…」 = 「〜に対処する」)。
「〜して逃げおおせる」ではない場合の意味
続いては「〜して逃げおおせる、〜を(捕まらず、とがめられずに)やってのける」ではない場合です。実際、「get away with」にこのような訳語を当てようとすると気持ちが悪いことがあります。
そんな時に使いたいのが、(悪さの程度が低いような印象を受ける)よりシンプルな「〜をやってのける」です。これくらいの、いくぶん中立的とも言える意味で使われることもあります。
例えば、今まで何度か目にしたのは、IT系の話でこんな感じです。ウェブサイト構築中に、○○というコードを記述することができるならば、そうした方がいい、というもの。このうちの「コードを記述することができるなら」が「if you can get away with adding this code」という具合です。
別にこの文脈では、コードをそこに記述することが「(例えば強盗などのような)悪事」という訳ではありません。では、なぜ「get away with」が使われていたのでしょうか?答えはこうです。難しい技術面の説明は抜きにしますが、そのコードを特定の位置に記述することで問題が起きやすいとのことです。ですので、うまく対処できる限りは、やってもいいですよ、という意味で使われていました。
ですので、ここでの意味は「(問題を起こすことなく)うまくこなす、やってのける」です。先にご紹介した「〜をして逃げおおせる」という何か(明らかに)悪いことについての方が頻繁に使われますが、これくらいの意味の振り幅はあるということでしょう。
あらためて「get away with」を英英辞典で確認する
ここであらためて「get away with」の意味を、英英辞典で確認してみましょう。macmillan dictionaryによると、以下のように説明されています。
to manage to do something bad without being punished or criticized for it
これの日本語での意味は「罰せられたり批判されたりすることなく、どうにかして悪いことをする」です。やはり、何か悪いことをする、という部分が重要ですね。悪いことをすると、普通は、罰せられたりするものの、それをかいくぐる、というニュアンスです。
また単に「to do something…」ではなく「to manage to do」となっているので、「(たやすくではなく)なんとか…をする」という部分も意識したいものです。簡単ではないものの、なんとかやってのける、ということですね。
「get away with」のまとめ
基本的には「get away with」は「(捕まることなく)〜(悪いこと)をなんとかやってのける」と覚えておきましょう。
これを中心にした上で、実際に、もう少しだけ広い範囲で、「〜を(問題を引き起こさず)なんとかやってのける」というような使い方もされることがあるようだ、と知っておくと便利です。ただし、これはどんな場合でも使えるわけではありません。言ってしまえば、どちらの場合でも、程度の違いはあるものの、ある種の「悪いこと、問題」についての話です。
- 強盗や殺人などの悪事
- 障害を引き起こすことのある場所でのコードの記述→これも、書き手の意識のなかで一種の「悪いこと」と思われているはず
どちらにしても「get away with」のあとには、悪いこと、問題となりやすいことなどが続きます。今回はその「悪いこと」の範囲の広さを、例を通して知ることができたというのが、一番の学びだと思っています。
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