オンラインカジノでは、よく「self exclusion」または「voluntary exclusion」という語句が使われます。しかし、日本では(そして、日本語では)あまり知られていないようです。
私は、ギャンブルは全くやらないのですが、これに関連する仕事をお手伝いしたことは、何度かあります。そんな中で、この「self exclusion/voluntary exclusion」という言葉が現れて、色々と調べました。なかなか、興味深い言葉であり、概念です。
メモがてらに、その結果をまとめておきたいと思います。
「self exclusion/voluntary exclusion」の日本語訳
まずは、日本語でこれの訳語が存在するかどうか。正直、全然ありません。事例が少ないです。「事業者によるギャンブリング対策…報告書」(内閣官房委託調査)を見つけ、そこには、こう書いてありました。
自己申告による入場制限
これは、非常にしっくり来ます。直訳にならないあたりが、好感が持てます。しかしながら、これは、あくまでも、物理的に存在するカジノ(ランドカジノ)であり、オンラインカジノの話ではありません。
「入場」というところが、オンラインカジノにはマッチしませんよね。。
自己排除という訳語もある
そこで、他にも調べてみると「自己排除」という言葉が使われていることもわかりました。こちらについては、あまり「これは」と思う意訳とは言えませんが…まあ、豪速球というか、直訳しました、というところでしょうか。
という訳で、ここまでをまとめると…
- 自己申告による入場制限
- 自己排除
…といった日本語訳が使われているようです。とは言え、これらが、普及しているかと言えば(ネットで調べまわってみたところ)そんなことはなさそうです。
「self exclusion/voluntary exclusion」の意味
続いては、「self exclusion/voluntary exclusion」の日本語訳ではなく、何を意味するのかを考えてみましょう。
英語のWikipediaページによると
Wikipediaの「self exclusion」のページを見てみると、以下のような意味であることがわかります。
上のページのそのままの訳ではありませんが、こうです。ある、ギャンブルに依存しているAさんがいるとします。その人が「ああ、どうすれば、カジノに入り浸る日々を乗り越えられるのか」と悩んでいます。そんな時に、この「self exclusion/voluntary exclusion」が使えます。
これは、カジノに対して「私は、もう、このカジノに出入りしたくありません。ハマりすぎて怖いので、もう入れないようにしてください」と言います。そして、カジノは、Aさんを出入り禁止者リストに加えます。ある日、Aさんがどうしても、そのカジノでゲームを楽しみたいと思っても、ちゃんと、入場禁止にしてもらえるわけです。
法的に自分を禁止にしてもらう作戦
めでたし、めでたし。これは言うなれば、ギャンブルを自粛したい人が、他者(主に、カジノに直接)に強制力を求めるオプションです。そして、リストに掲載されると「法的に、入場が禁止され」ます。
そして、「self exclusion/voluntary exclusion」は、オンラインカジノにも存在します。私は仕事で、英語で掲載された状態の新しいオンランカジノを覗くことがありますが、その際には、よく見かけます。日本語のオンラインカジノで遊んでいる人は、意外と(当然と言えば当然ですが)、全然、知らないかもしれません。
余談ですが…グレーな扱いです
ちなみに、オンラインカジノは、その多くがキュラソーやマルタなどの国のライセンスを取得して運営されています(その国においては、完全に合法)が、日本人が日本からオンラインで、そのようなカジノで遊んだ場合の扱いについては…法的に曖昧(グレー)ですので、私は、プレイしないことをお勧めします。私なら、まずやりません。
あらためて「self exclusion/voluntary exclusion」の訳語を考える
オンラインカジノにおける「self exclusion/voluntary exclusion」に「入場」という言葉は少ししっくり来ないような気がしますが、かといって「自己排除」だと、あまりにも直訳すぎるような。なんとなく「自粛」(新型コロナウィルスを彷彿とさせますが)などの言葉があるとわかりやすいような気もします。
しかし、自粛だと、どうしても、自分の意思で何かを控える、ということになるので、「外部の力を借りて、抑制、強制してもらう」というニュアンスは出ませんよね。そうなると…「自発的出入り禁止要請」でしょうか。カタイですね…。
娯楽目的のみでどうぞ
オンラインカジノでは、「娯楽目的のみで、サービスが提供されています」という宣言がされることがよくあります。そして、「ギャンブルには依存症があるので、気をつけましょう」という、文言も書かれます。これを見ると「本当に、依存してしまう人が心配なら、そもそも、ギャンブルを提供しないでさ…」と思ってしまうものです。
タバコを売りながら、パッケージに、害がある(タバコを吸わないので、具体的な表現はわかりませんが)ので気をつけましょう、という旨のメッセージを書くパターンと同じですよね。罠を仕掛けておきながら「私は、忠告しましたよ」と。なかなか怖い世の中です。そんな締めくくりになりましたが、みなさん、気をつけてください。
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