今回扱うのは「blueprint」という英単語です。これの意味に迫りながら、どのような状況で使えるのか、どんな間違いを避けるべきなのか考えてみましょう。
1. 「blueprint」の一般的な日本語訳と誤解
「blueprint」には頻繁に「青写真」という訳語が使われます。この「青写真」というのは、簡単に言えば「未来の構想、ざっくりとした計画」という意味です。ここで、ある問題が生じます。実は「blueprint」という言葉の本来の意味は「未来の構想、ざっくりとした計画」ではありません。「未来の構想」という意味ではいいのですが、決して「ざっくりとした、大まかな計画」という意味はありません。むしろ逆です。
2. 「blueprint」の大事な特徴に目を向ける
「blueprint」は「ざっくりした計画」ではなく、むしろ「詳細な計画」を意味します。ですので「枠組みだけを示した、なんとなくの計画」という意味で使うと間違いということになります。これは注意しなければなりません。『Bryson’s Dictionary of Troublesome Words: A Writer’s Guide to Getting It Right』では、以下のように説明されています。
…blueprint is a completed plan, not a preliminary one.
つまり、予備的な計画(とりあえず、準備としてつくっておく計画)ではなく、完全な(詳細な)計画だ、ということです。実際、このようにちゃんと調べてみるまで、私自身、「blueprint」を「ざっくりした計画」という意味でとらえていました。なぜ、そんな誤解が生まれたのかというと、おそらく、別の側面に関係しているのではないでしょうか。
3. なぜ「blueprint」の意味が誤解されがちなのか
「blueprint」の意味は、Cambridge Dictionaryでは、以下のように説明されています。
an early plan or design that explains how something might be achieved
つまり、何かを達成する方法を説明した、初期の計画または設計、ということです。ここから、将来的な何かについての構想を説明するものだということがわかります。注目したいのは「初期の」です。つまり、早い段階でつくられた計画、ということですね。ここから、雰囲気で「早い段階=大雑把な仕上がりの」と拡大解釈してしまう可能性が考えられます。私の誤解も、ここから来ているのかもしれません。大事なのは、ちゃんと線引きをして、両者を区別することです。
まとめ:「blueprint」の特徴を加味した意味
ここまでの特徴を加味すると、「blueprint」の意味は、次のようになります。
Blueprint = 早期につくられた(つまりこれから調整される可能性はある)詳細な計画や構想
ここでのポイントは「詳細につくられているものの、今後、調整されたり、変更されたりする余地はある」という部分です。それでありながら(大まかではなく)ちゃんと練られています。この微妙な特徴を理解することで、この単語の本質に近づけるような気がしますね。
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