【差別的になる危険性も?】ブラウザで見かけた「nuke」の意味

 

今回のテーマは「nuke」です。なかなか恐ろしい言葉です。だからこそ、勘違いせずに、文脈に沿った理解をしたいもの。いろんな意味がありますが、今回注目するのは、ウェブブラウザで使われていた「nuke」です。それでは、典型的な意味をおさらいしつつ、本題のポイントを考えてみましょう!

 

まずは「nuke」のより一般的な意味

 

恒例ですが、まずは、より一般的な意味から。「nuke」という言葉は、実は日常的に使われます。一人暮らしの強い味方です。答えはこちら。「nuke…」で「電子レンジで…をチンする」という意味になります。便利な表現です。

 

ピザが昨日から残っていて「温めてくれる?」と言いたいときには「Can you nuke it?」となります。非常にカジュアルな表現です。

 

「nuke」の語源

 

「nuke」という言葉は、「nuclear」、つまり「核兵器の, 核の」という言葉から来ています。そして、なぜ、この「核」と関係する「nuke」という単語が、電子レンジでチンする行為に使われるかというと、はっきりとはわかっていません。主な定説としては「あまりに早く、強烈な威力で温めるから」、「電子レンジが登場した当初の説明として専門的な言葉が使われ、その文言の類似性により、核に関係しているものという誤解が生まれたから」などがあります。

 

続いて…本題の「nuke」の意味

 

以上を踏まえて、もう一歩先に進みましょう。「nuke」が「電子レンジでチンする」という動詞であることは、言うなれば基本的な知識です。ここまではいいのですが、もし「nuke」がウェブブラウザを使用している最中に登場したらどうでしょうか?

 

私が遭遇した状況は、こうです。「Nuke this website」というフレーズです。ウェブサイトを「nuke」するとは…と考えてしまいますね。そして、実際に、アプリの開発元の人と話してみた結果、すっきりしました。この文脈での「nuke」は「完全に削除する」を意味します。より「nuclear」に近い意味だと言えるかもしれません。

 

英英辞書「Merriam-Webster」を見てみると、「nuke」には、そもそも、こんな意味があります。

 

to attack or destroy with or as if with nuclear bombs()

 

これの意味は、「核爆弾で、または核爆弾を使ったかのように、…を攻撃または破壊する」です。物騒な意味ですね。何はともあれ、これで、整合性が確保できました。

 

先ほどの「nuke」は、「(核爆弾を使ったかのように完全に)ウェブサイトを削除する」という意味だったのです。それでは「サイトを削除」とは…?という部分ですが、これは、プライバシーを意識したブラウザの話です。

 

ですので、特定のサイトの閲覧履歴を削除する、という意味であることがわかります。あえて「Delete」を使わなかったことから「そのサイトについてのデータを一切残すことなく、消し去る」という意味合いが感じ取れます。ブラウザが「削除」といっても「どこかにデータが残っている」ことがあるものです。そんな不安を払拭するために考えたのが「nuke」だったのでしょう。

 

「nuke」が「差別的」かもしれない?

 

もう少し、話が続きます。日本人としては、決してないがしろにしたくないお話です。

 

じつは、そのアプリを開発したチームの人から、(英語で)こんな内容の相談を受けました。「この“nuke”という言葉だけど、どうしても、“nuclear bomb(つまり、原爆)”を連想させてしまうので、日本のユーザーを不快にしてしまわないか、心配しています。実際、この言葉は避けるべきでしょうか」というものです。

 

たしかしに。わかる人は、わかりますね。

 

不快に思う人も、穏やかでない人もいるでしょう。それに気づき、配慮できる姿勢が、何よりも素敵です。ですので、私は「確かに、その可能性は否定できません。もちろん、全員がそう思うわけではなく、むしろ、なんとも思わない人もたくさんいると思いますが、より中立的な言葉に変えることをお勧めします」と伝え、候補として「履歴を完全に削除」などの文言を提案しました。“攻める”としても、せめて「…の履歴を爆破」くらいにとどめたいですね。

 

 

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