英語の文献を読んでいると、気になることがあります。日頃から気になってばかりですが、今回扱うのは「measure」です。「measure」=「対策」となってしまうと、実は誤解があります。これは、より日本語的な問題です。
「measure」=「対策」は気持ち悪い
例えば、こんな英語があります。「security measure」です。IT関係で特に多く目にします。サーバーであったり、サイトの管理であったりです。そんな「security measure」を「セキュリティ対策」とはしたくないですね。対策という言葉は、普通、何か悪いものであったり、避けたいものであったり、挑戦する対象に使うものです。
例を挙げるならば、寒さ対策、センター試験対策などなど。ですので、セキュリティに対抗したい訳ではないので、個人的には「セキュリティ策」または、より意味を強調して「セキュリティ強化策」などがいいと思っています。
「measure」=「策」が気持ちいい
結果的に、何がしっくりくるかと言うと「策」という言葉です。あくまでも「策」にとどめておくと「measure」を日本語訳するときに気持ちよく進めることが増えるかと思います。
「対策」関連で気持ち悪い言葉がいっぱい
パッと頭に浮かぶのは「SEO対策」という言葉です。これは、もう浸透しすぎている言葉です。意味を説明しますと「いかにして、Googleなどの検索エンジンの検索結果ページの上位に表示されるか」という分野です。
では、なぜ「SEO対策」という言葉がしっくりこないかご説明します。SEOとは「Search engine optimization」です。つまり「検索エンジン最適化」ですね。なので、これに「対策」という言葉をつけることが不自然です。
すでに「最適化」という意味が言葉の中に入っています。なので、今多くの人が使っている「SEO対策」という言葉は、「検索エンジン最適化対策」となります。何でしょうね。
おそらく、最初に日本語として使い始めた人が、(1)英語の意味をちゃんと理解していなかったか、それとも(2)対策として行うこと、という意味を強調したかったのかもしれません。もしくは、深く考えずに使った言葉が浸透してしまった可能性もあります。
SEOはSEOでいい
少し話がそれましたが「SEO最適化」は冗長です、というのが私の考えです。どこかに、これに賛同してくれる人がいればいいですが。私のSEOとの関係については、もともと、日本語での記事があまりない頃から、英語で勉強してきました。そして、ある日、日本語の「SEO対策」という言葉を目にして「なんじゃそりゃ」と思ったことを、今でも覚えています。
どうしても無理に漢字をつけたいのであれば、SE(Search engine)最適化とすべきでしたね。もうそれなら、検索エンジン最適化でいいじゃないか、という話にもなりそうですが。そして、考えてみると、日本人は「対策」という言葉が好きですよね。ものすごい「対処してます、何とかします」という雰囲気が感じられるからでしょうか。
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