いろいろな文化、人種、宗教が入り乱れる国ネパール。
そうしたものが混ざり合って、独特の世界を生み出しています。
アジアの小国でありながらも、その雰囲気に惹かれて旅にやって来る旅行者も多いのです。
これを知ってるとネパールの新たな魅力を発見できるかも!?
ネパールの少し深い文化について、お話しましょう。
ネパールの人口は何人?
ネパールの国土の広さと人口について、まずはお伝えしましょう。
【ネパール基本情報】
国土:14.7万平方キロメートル
人口:2898万人
日本と比較すると、国土は日本の 北海道の約1.8倍 。
人口は、東京+神奈川+千葉県民を集めた数に相当します。かなり小さな国ですね。
公用語はネパール語ですが、それに加えて 120ほどの部族言語 が話されているというので驚きです!
数え切れない民族の集合体
日本人には苗字と名前があります。その苗字を聞いたとき、珍しいね、綺麗な苗字だねと言うことはありますが、それ以上のことは名前からは分からないのが普通です。
しかしネパール違います。その人のフルネームで 〇〇族のどの階級 の人だ、という情報がなんと名前を聞いただけで全てわかってしまうのです。
ネパール人にとって、生まれや自分の民族はとても重要とされています。
未だに消えないカースト制度
カーストという単語を聞いたことはありますか?
カーストとはインド古来から伝わる、 階級制度 です。その階級それぞれに仕事が割り当てられており、王族、司祭、仕立て、鍛冶屋などがあります。
現在ではそもそもカースト制度は、 法律で禁止 されていますし、その階級通りの職についている人はほとんどいません。
道行く人にカーストについて聞いても、「みんなおんなじ平等だ。身分に上も下もない」といいます。しかし実際のところ、人々の生活、考えの中には根深くカースト制度は残っているのです。
悲しいことに不可触民と呼ばれる人々も存在します。
その人を家に招き入れることはもちろん、その人が 一瞬でも触った水は汚れたもの として、外に捨てられます。
そして、差別を受ける側の人たちも、それを受け入れている。そんなアンダーグラウンドな話も実際存在するのです。
ある日、先生が生徒に飲み水を持ってきてほしいと思い、一人の生徒に頼もうとします。目の前には司祭階級(階級上位)の子どもと低階級の子どもが。 そのとき先生は間違いなく司祭階級の子供に頼むことでしょう。 このように、身分差別は当たり前のこととしてネパールに息づいており、この国からなくなることはないのです。
いろいろな民族
カースト制度で少し重たくなってしまいましたが、そうした階級の話を抜きにするとネパールは本当に多様性に富む、面白い国です。
たくさんある民族のうち、有名どころをいくつかご紹介しましょう。
顔立ちのはっきりしたバウン・チェットリ
大きな瞳に、高い鼻。
いわゆる 美男美女が多い 民族がこちらです。民族的な括りでいうと【バルパテ・ヒンドゥー】と言うそうですが、名前を訪ねた時に帰ってくるのは、大体バウンやチェットリという答えがほとんどなので、こちらではそのように紹介したいと思います。
このバウンやチェットリというのはバルパテ・ヒンドゥーのなかのカースト(身分階級)のことです。母語をネパール語とするため、発音がとても綺麗でピュアネパリとも呼ばれます。
カトマンズはネワール族の街
浅黒い肌がよく似合うのがネワールの人たち。
カトマンズにはたくさんのネワール族が住んでいます。
そのため、ホテルや王宮の作りは ネワール様式 であることも多く、繊細な木工彫刻はそれだけで魅力的です。
彼らはネワール語を話し、かたまって生活しています。
彼らは家を高く高く作るため、一軒の家で5階建てなんてことはあたりまえ。当然エレベーターなど存在しないので、上り下りは一苦労です。
カトマンズ、ラリトプル、バクタプルと3つの地域はネワールの街とされていますが、共通するネワール語でもかなり方言があるようです。
彼らと日本人にはいくつか共通点があります。
1つは食が好きなこと。彼らはとてもグルメでいろいろな方法で食事を作ります。
ネワール料理専門店をのぞくと、 水牛を使った民族料理 を美味しくいただけますよ。
日本人にそっくりなモンゴリアン
チベット系山地の民である人々はモンゴリアンと呼ばれ、 日本人とよく似た顔 をしています。
部族名をあげるなら、タマン、ライ、リンブーなど。
あ、この人日本人ぽい!と思ったらおそらくこの民族に当てはまるでしょう。
インド系の顔をしたタライの人々
ネパールと中国の国境はヒマラヤ山脈で覆われていますが、インドとの国境は陸続きでつながっています。その真っ平らな低地平原をタライ平野と呼び、そこに住む人々は、さらに顔の色が黒く大きい目をしています。
熱心なヒンズー教徒が多く、厳格なベジタリアンや禁酒を守っている人たちもいます。
しかし、観光地には平気でお酒が売っていて誰でも買えるので、よほど田舎に行かない限りは気にしなくて大丈夫でしょう。
ネパールの宗教
日本の古い家には大抵仏壇があり、お供えをしたりお経を唱えたりするものです。
それは日本人の多くが仏教だから。もしかすると神棚があって、神道を信じておられる方や、キリスト教という方もおられるかもしれませんね。
意外と私たちの身近に宗教は存在しているのですが、ネパールにはさらに多くの宗教や神様が存在します。宗教はネパールの文化や生活と、切っても切れないものになっているのです。
ヒンズー教
ネパールは 世界で唯一ヒンズー教を国教 としている国です。
ヒンズー教にはたくさんの神様がいて、いたるところに偶像が作られまつられています。
有名どころの神様を挙げると、破壊神シヴァ、創造神ブラフマー、富と学問の神ガネーシャでしょうか。
ヒンズー教には 330万の神様 がいるとされています。それぞれに神話があるそうですが、そのうちの1つガネーシャ神誕生秘話がとにかく驚きなのでご紹介したいと思います。
この2人は実は親子。でも シヴァの顔は人の形 をしています。いったいどうして象の顔になったのでしょう?
ガネーシャは母親であるパールヴァティーが身体を洗い、その身体の汚れを集めて命を吹き込んで生まれた神です。 その後、ガネーシャが浴室の見張りを母親に頼まれてしていました。その最中、父親であるシヴァ神が帰ってきたのです。 しかしガネーシャは当然はじめて出会うので、まさか父親だなんて知りません。母のいいつけを守り入室を拒むのですが、シヴァ神は激怒し、なんとガネーシャの首を切り落として遠くへ投げ捨ててしまいました!
その後、妻のパールヴァティーから「あらあら、それは私たちの息子よ」と説明され、シヴァ神は子どもの頭を探し旅に出ますが、結局頭は見つからずじまい。それなら仕方ないと、旅の最初に出会った 象の首を切り落とし、ガネーシャの頭として取り付け復活 させたのです。
なんとも驚きの理由から、象の頭をもつガネーシャは誕生したのでした!
人々は朝早く起き、毎日プジャと呼ばれる礼拝を行います。
頭にティカと呼ばれる赤い印をつけ、銅のお皿に花や油、鈴などを持ち敬意を捧げるのです。
きっと街の中を歩くとき、いくつもの礼拝場を目にすることと思います。
それもそのはず。約80%のネパール人はヒンズー教を信じているからです。
チベット仏教
仏教と神道が日本に混在するように、ネパールにもヒンズー教と仏教が混在しています。
ただ仏教といっても、日本の仏教ではなくチベット仏教というまた別の種類のもの。
お祈りの仕方も独特で、この写真の マニ車 と呼ばれる仏具を回します。
金属でできたマニ車にはマントラ(お経)が書かれており、 手でひと回しすることによってお祈りを捧げられる とされています。
観光名所の一つ、ボダナートにはストゥーバと呼ばれる建物があり、そこには世界を見通すという ブッダ・アイ が描かれています。そしてその周りをぐるりと取り囲むように、マニ車が何百個も置かれているのです。
現地の人も観光客も、その周りを歩きながらマニ車を回すのが、お約束となっています。
人々の生活の背景を知るともっとネパールの実態が見えてくる
未だに発展途上国な国だからこそ、人々は神を大切にし頼る純粋な心の人々が多くいる国ネパール。背後には残酷なカースト制度、身分差別という暗い部分も残ってはいますが、それでも人々は毎日明るくたくましく生きています。
ネパール人の生きる力、純粋さ。そうした魅力もぜひ多くの人に知っていただきたいと思います。