【閲覧注意】“迫りくる黒い影”サバクトビバッタが怖すぎる5つの理由

 

2020年、世界は新型コロナウイルスによって振り回され、日常が日常ではなくなってしまいましたが…サバクトビバッタという敵も忘れてはなりません。

 

私たちの敵は、ウイルスだけではありません。もうすぐそこまで、じわじわ迫っている“黒い影”があるのを、ご存じですか?

 

そして、その戦いはもうすでに始まっているのです。その黒い影の驚きの生態とは?どんな危険が…?今、世界が立ち向かうべき“新たな敵”についてお伝えします。

 

Useful source: Desert locust

 

1. “黒い影”サバクトビバッタとは

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)
霧かのように群れるサバクトビバッタ

 

乾いた大地に、ざぁっと何かが飛ぶ音がしました。枯れ木には葉っぱのように何かがぶら下がっているのが見えます。それは葉ではありません。それは“彼ら”によって食い尽くされた後だからです。

 

“彼ら”とは、サバクトビバッタ。その名前が黒い影の正体です。ただのバッタです。でもその数が尋常ではありません。彼らは群れているのです。どうしてこうなってしまったのでしょうか?

 

私たちがイメージするバッタは、一匹か二匹で草むらで静かにしているものです。この状態を「孤独相」といいます。ぽつんと一匹で見かけるバッタで、基本バッタはこの孤独相です。

 

しかし、このバッタたちにも時々変化が起きます。

 

エサである草地が少なくなったり、もともと少ない地域にいたバッタたちは、エサを求めて集まり群れを作り始めます。孤独だった彼らが仲間で行動するようにり「群生相」に変化するのです。そしてこの群生相のバッタたちが、今世界をさらに危険な状態にさらしている原因になっています。

 

驚きの変身

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)
上が「孤独相」で、下が「群生相」

 

サバクトビバッタは、どんな姿をしているのでしょうか。

 

緑色で草に紛れる一般的なバッタの色をしている彼らですが、群生相のバッタたちから誕生した子供たちは緑色ではありません!くすんだ黄色に黒の模様。それが彼らのトレードマークになるのです。

 

また、食欲も増加し、足が長くなり、繁殖力も増加するという最強カスタマイズも付いてきます。

 

成虫のサバクトビバッタの体長は40~60㎜ほどですが、子供のころから集団で行動していたバッタたちは、さらに仲間を増やすためフェロモンを出しながら群れをどんどん大きくしていくというのですから、これは恐怖以外の何物でもありません。

 

2. サバクトビバッタ群れすぎ問題

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)
飛び交うサバクトビバッタ

 

一人でいるよりみんなでいた方が楽しいし心強い。その気持ち、すごくよくわかります。

 

しかしこのサバクトビバッタは、正直に言って群れすぎです。恐怖を感じるほどの数の仲間を集めています。

 

彼らの寿命は3~6か月ほどと短いものです。しかし1年のうちに世代交代が2回~5回行われるため、一つの群れで最大16世代まで広がります。卵を産み、孵化し、仲間を集め、再び子供を産み・・・というこのループによって広がったサバクトビバッタの群れは、大きいもので直径数10キロまで達します。

 

3. 消え失せる緑の大地

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)
サバクトビバッタによる農作物被害

 

大きく膨れ上がったバッタの群れは、まるで軍隊のように農作物に襲い掛かります。

 

底なし沼のような彼らの食欲は止まることがありません。

バッタたちは、一日自分の体重と同じ量である2gの食事をします。たった2gだと思いましたか?

 

では2gのバッタが数億匹、数百億匹いたとしたら

 

なんと群れはニューヨークを埋め尽くしてしまうほどの規模になることもあるそうで、その場合、約13万6000トンの食物が一日で失われてしまう計算になります。

 

このサバクトビバッタの破壊的な食欲によって、食糧不足が深刻化しています。ケニアやエチオピアなどのアフリカ諸国では、コロナの問題に加えて食糧危機問題が加速していて、多くの人が不安に襲われています。

 

食べ物は人が生きていくために欠かせないものです。畑で汗水たらして作った野菜や穀物が、一瞬でなくなってしまったとしたら・・・これは本当に危機的状況です。バッタの群れが飛び去った後、そこに残るのはなにも残りません。茶色い大地と枯れ木が残るだけです。これが「蝗害(こうがい)」と呼ばれる災厄の恐ろしさです。

 

4. 食のためならどこまでも

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)
空を力強く飛ぶサバクトビバッタ

 

日本では蝗害についてのニュースは、あまり取り上げられません。

 

明治時代ごろ、北海道で起きたものを最後に大きな問題とはなっていないからです。しかし、これは他人事ととらえていいものではありません。2020年1月下旬から東アフリカから始まったこの問題ですが、もう彼らの“遠征”はアジアや南米にまで到達しています。

 

サバクトビバッタは、小さな体で一日最大130㎞~150㎞、風に乗って飛行します。過去にはアフリカ北西部からイギリスまで飛んだ群れや、さらに別の群れがアフリカ西部からカリブ海まで到達したという報告があります。

 

実際、2020年7月の時点でサバクトビバッタはインドやネパールまで、到達しています。

 

ただ、このサバクトビバッタは寒さに弱いため、ヒマラヤ山脈を越えて中国にやってくることはできないといわれています。

 

しかし、日本に到達しなかったとしても、世界各国の輸入に頼っている私たち日本人の生活には今後影響が出ることが考えらえます。

 

5. サバクトビバッタ VS 人間

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)

 

アフリカ諸国やインド政府も、このバッタの大災害を、ただ指をくわえてみているだけではありません。

 

ヘリコプターやドローンを使い農薬を散布したり、スーパーコンピューターをつかって群れの動きを予測し、対策に回る政策も取られています。

 

またFAO(世界食糧農業機関)は、できる限り人体や環境や動物たちに影響を及ぼさない殺虫剤を開発し、運用し、回収するという働きをして、この問題と長年戦ってきました。

 

その対策の一つとして、バリア処理があります。

まず小型セスナを用いて、二列の帯状に殺虫剤を畑の上に散布します。図で示すとこんな感じです。

 

●〇●(黒:殺虫処理済み 白:殺虫処理なし)

 

真ん中の一列は殺虫剤がかかっていない状態です。さてこのバリア処理は、バッタたちは風下に向かってエサを探すという特性を生かし、殺虫処理された作物、●のみを食べ、バッタは致死量に達し一列の穀物〇は被害を免れる作戦です。このようにすると、環境にもある程度影響を及ぼしてしまう殺虫剤から、貴重な作物もそこに住む虫や動物、土壌もある程度守られるという仕組みになっています。

 

野菜がないならバッタを食べればいいじゃない

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)

 

実は私も頭をよぎりました。増えすぎたバッタを食べれば何とかなるのでは?駆除と食料危機をダブルで叶えられるのでは?佃煮みたいにしたり、揚げたりしたら意外といけるのでは、と思いました。実際昆虫を食べる文化は世界中にあるわけですからね。

 

しかし、残念ながら、それは難しいという説が濃厚なようです。その理由は大きく分けて2つ。

 

①殺虫剤で汚染されていて健康被害が心配。

②単純にバッタの群れの規模が大きすぎて間に合わない。

 

確かに健康被害や、数億匹のバッタを捕まえることを考えると、難しいかもしれません。そんなに簡単な問題ではないのだと改めて痛感させられました。

 

さいごに:恐るべき昆虫サバクトビバッタ

 

サバクトビバッタが怖すぎる(被害, 食用説, 現状など)

 

サバクトビバッタはたった一匹の昆虫ですが、調べれば調べるほど驚くべき生体が明らかになってきました。

 

その食欲、飛行距離、体質の変化など恐怖を感じると同時に、生き物の生体の不思議と知恵に驚嘆します。とはいえ、この大きな災害であるバッタ問題。一日も早く終息してくれることを願っています。

 

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