ニュージーランド人は、「マナアキタンガ(manaakitanga)」–つまり、おもてなしの精神を大事にする、親しみやすく堅実な人々です。とは言え、ニュージーランドの人々には、そんな簡単な言葉では言い表せない深みがあります。今回は、彼らの性格や人柄、そして、ライフスタイルに迫りましょう!
マオリとヨーロッパ、太平洋の島、そしてアジアの影響を繋げ合わせた歴史を持ち、500万人の人口を抱えるニュージーランドは、まさに文化のるつぼです。今日、ニュージーランドの人口はさまざまな背景を持つ人々で構成されています。70%はヨーロッパ系、16.5%は土着のマオリ人、15.1%はアジア人、そして8.1%はマオリ以外の太平洋の島々出身の人々です。
地理的には、人口の4分の3以上が北島に住んでおり、全人口の3分の1がオークランドに集中しています。そして残りの大半のニュージランド人は、ウェリントン、クライストチャーチ、ハミルトンの3つの主要都市に居住しています。
1. ニュージーランド人の土地との結びつき

最初にご紹介するニュージーランド人の特徴がこちら。土地との結び付きです。ニュージーランド人のアイデンディティは、自然界への愛情と深く結びついています。彼らの視点は精神的、もしくはソウルフルとさえ言えるかもしれません。
ニュージランドで海底採掘に対する反対の声(South Taranaki seabed mining appeal)が上がったのも不思議なことではありません。ニュージーランド人は、その地で生まれ、育ち、地域や土地を敬愛する心を培っています。
それはマオリがずっと受け継いてきた精神で、パーケハー(白人または非マオリ系)がさらに発展に貢献しています。かつては、家屋が、景色や周りの景観のことなど一切考えることなく建てられることがよくありました。というのも、ヨーロッパの精神(ヨーロッパからの入植者の発想)が、屋内は屋内(安らぎの場所)であり、屋外は敵対的な存在であるため、しっかりと締め切る必要があるというものだったからです。
しかし、その考え方は見直され、現在ではニュージーランドでは、屋内と屋外が調和する概念が取り入れられるようになっています。言ってしまえば、ポリネシア先住民や、その子孫であるマオリの人々の考えに立ち返っているということです。
2. 男性的でたくましいニュージーランド人

二つ目は表現の男らしさです。これも、ニュージーランドの人々の性格や人柄を語る上で欠かせない要素です。誤解して欲しくないのが、決して、男尊女卑や、アンチフェミニストという意味ではありません。
そうではなく、ニュージランドの言語や、人々の態度に、男性的な強さと潔さが見られます。オールブラックス(ラグビーニュージーランド代表)のかつてのキャプテン、タナ・ウマガ選手が、ラグビーの試合中に、やたらとホイッスルを鳴らすオーストラリア人の審判に対して「おはじきをしてるんじゃないんだ」と言った、という有名な話にその特徴が最も良く表れているかもしれません。
時に、表現の男らしさが垣間見えることは、世界的に見て決して珍しいことではありませんが、例えば、ニュージーランドでは「Don’t be a girl(女々しくなるな、なよなよするな)」のような言葉が、男性だけでなく女性の間でも使われます。
3. ニュージーランド人のラグビー愛

スポーツ、特にラグビーは、ニュージーランド人と強く結びついています。ただの娯楽ではなく、社会的に重要なものです。これには、他のものには到底手出しできない領域にすら「切り込む」力があります。ラグビーの名声が、広告の分野でうまく活用された例があります。元オールブラックのジョン・カーワン(非常に有名なニュージーランドのラグビー選手)を起用した、うつ病についての啓蒙キャンペーンが行われました。
大事なメッセージを届ける広告です。ニュージーランドでは、世界の他の国にはないレベルでの、スポーツ熱やスポーツとの近い距離感があります。だからこそ、これを通して、ニュージーランドの人々の興味関心が、自然とあるべき場所へ向けられました。有名スポーツ選手は、この国では非常に尊敬されます。そんな人が旗振り役になることで、大きなキャンペーンが成功に導かれました。
4. ニュージーランド人はのんびりとした性格
ニュージーランドでしばらく過ごせば、きっとニュージーランド人からの「She’ll be right(良くなるよ、大丈夫さ)」というフレーズを耳にするでしょう。この、流れに身をまかせた言葉は、ニュージランド人が人生をどのように捉えているかをよく表しています。
最終的には全てがうまくいく。物事をあるがままに受け入れて、その結果を受け止めよう。そんな人柄がにじみ出ています。のんびりとした性格があって、素敵なライフスタイルが生まれ…そして、多くの観光客がそのリラックスした雰囲気に触れて「ニュージーランドへ引っ越したい!」と切望するものです。結局のところ、国や地域の雰囲気を作るのは、人ですね。人がいい場所に移住したいと思う人(日本人ももちろん含む)は当然、あとを絶ちません。
5. ニュージーラン人の謙虚な人柄

ニュージーランド人はとても謙虚な人々だと言われています。一般的に、自分の業績を自慢するのが好きではなく、自分の偉業について人が自慢しているのも聞くのも同じように、あまり好みません。また、好きなスポーツ選手が地に足をつけ、チームを勝利に導くことにのみ集中することを期待します。日本人の伝統的な「寡黙に貫く」といった哲学や美学に似ているかもしれません。
たとえば、こんな話があります。ニュージーランドのラグビーのスターであるリッチー・マコウがナイトの勲位を辞退した時は、ニュージーランド人の重視する謙虚さの模範的な例として、高く評価されました。もし侍が現代まで生きていたとすれば、その硬派な生き様は、ニュージーランドで高く評価され、尊敬されそうなものです。
6. ニュージーランド人の起業家精神

ニュージーランド人は、非常に創造的で起業家精神に溢れ、その短い歴史の中でも、多くのパイオニアを輩出しています。世界的にはこのイメージはあまり定着していないかもしれませんが、だからこそ、知ってもらいたいものです。
その上、ニュージーランド各地のスタートアップは常に活発で、ほんの少しのアイデアの種から素晴らしいものを作りあげる方法を熟知しています(この機知は、このように小さな孤立した国での暮らしの産物だと言えるかもしれません)。スタートアップとしては、数えればキリがありませんが、例えば、Halterがあります。この会社は、牛の首につけて動きをトラッキングするなどして、酪農を助けるデバイスを開発、販売しています。いかにもニュージーランドなビジネスですね。
7. 自然と調和するライフスタイル

ニュージーランドを訪れる多くの観光客がその自然に魅了されます。この国には、それだけ素晴らしい大自然が広がっているということ。そして、ニュージーランド人のアウトドアへの情熱は折り紙付きです。壮大な景観を最大限に活かした趣味を楽しんでいます。
特に海との関係は、避けて通るわけにはいきません。これほどたくさんの海岸線に囲まれていれば、ニュージーランド人が海を好きになるのも無理はなし。なんと、ニュージーランドの家族の15%以上が自分のボートを所有していると言われています。優れたヨットの設計者との評判の高いニュージーランド人は、世界のヨット、カヤック、ウィンドサーフィン、ボートという分野で常に大きな存在感を示しています。
さいごに
土地や地域への敬愛、力強さ、自然とのつながりを楽しむ姿、ラグビー愛などなど…ニュージーランド人の性格を知るための手がかりをいくつかご紹介しました。普段、日本のテレビを見ていて、または、ネットニュースを見ていて、あまり目にする機会がある国とは言えません。しかし、実は、日本からはそう離れていない国です。しかも、謙虚さを大事にするなど、日本人と共通する性格が見られます。今までよりももっと身近に感じてもらえたのではないでしょうか?
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