「specific to」という、非常に基本的なフレーズに考えさせられることがあったので、ご紹介します。言わずもがな、これの、王道としての意味は「〜に特有、〜に特化した」です。あまりにもこれが定着しすぎていますが、実際には、この訳ではしっくりこないことも多々あります。
むしろ「〜に特有」という訳は、非常にかたい印象を与えます。使える場面が限られますね。…ちなみに、ここで「限られます」と言いましたが、これを「specific to」で言うことができます。上の「〜に特有」よりも自然になることがあるので、是非とも「〜に限られる」という訳語も頭の片隅に入れておきたいものです。
ちなみに、私の経験上、この「限られる」は、否定形で登場するのが一般的だと思っています。つまり「not specific to〜」で「〜に限ったことではない」という訳語です。多くの場合「〜に特有/固有ではない」よりしっくりきます。
ここまではいいのですが、さらにトリッキーな文章に出くわしたことがあります。それが、こちら。
…[サーバーの操作手法] is specific to the vendor…
IT関係のお話です。それ自体は今は気にする必要はありません。「サーバーの操作手法が、ベンダーに対してspecificである」ということです。あなたならどう訳すでしょうか?もちろん、最初は「ベンダーに固有の」と考えてもいいでしょう。しかし、意味は伝わるものの、しっくり来ませんでした。
そこで「ベンダーに依拠する」と考えることにしました。これの方がしっくり来ます。この場合のコアの意味は「ベンダーによって、手法は違う」ということです。「ベンダーに固有の」でも同じ意味ですが、それだと「あるベンダーでは、こんな手法で、またあるベンダーではこんな手法で」という「それぞれの違い」が不明瞭になります。
是非とも、訳語がしっくりこない場合には、そんな表現もご検討ください。
ここまでをまとめると、以下のような表現が使えることになります。当然、この中から文脈にあったものをお選びください。
- 〜に特有
- 〜に固有
- (特に否定形で)〜に限ったことではない
- (どれもしっくりこない場合には可能性として)〜に依拠する/〜次第/〜によって異なる(まちまち)
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