最近、思うことがあります。仕事の関係で、海外ブランドやサイトのアフィリエイトについての説明を英語から日本語にすることがあるのですが…その中で日本人の典型的な誤解に気付くようになりました。
皆さんは「アフィリエイト」という日本語をどのように英語に訳すでしょうか?または「affiliate」という英語をどう日本語に訳すでしょうか?
「Become an affiliate」をどう訳してますか?
ある英語のウェブサイトに、こんな記載がありました。「Become an affiliate…」です。これをどう訳すでしょうか?もの凄い直訳をすると、「アフィリエイトになろう」や「アフィリエイトになりませんか?」といった具合でしょう。これでは、正直、気持ち悪いです。その理由は、以下をご覧ください。
ここで大事なのが、英語でも日本語でも「業界でどんな呼ばれ方をしているのか」理解することです。それを知らずに直訳をすると「日本語では、普通、そんな言い方はしませんけど」という気持ち悪さが残ります。これがその良い例です。
日本語では「アフィリエイトになる」とは普通言いません。アフィエイトとは、ウェブサイトやSNSなどを通じて、ものやサービスを紹介することにより、成約の際に、一部の利益を対価として受け取ることを意味します。つまり、そのビジネスの在り方、宣伝の一手法を表した言葉です。
先の質問に戻ります。「Become an affiliate…」だとすると、自然な日本語訳は「アフィリエイターになる」または「アフィリエイトプログラムに参加する」です(「…プログラムに登録する」でも良いかもしれません)。日本語では、アフィリエイトに従事してお金を稼ぐ人(往々にしてブロガー)のことを「アフィリエイト」とは言いません。
このような微妙な違いですが、知らないとずっと不自然さが残るかもしれません。
日本語の「アフィリエイト」は英語で何と言うのか?
逆に日本語の「アフィリエイト」を英語に訳すとなると、個人的には「affiliate program」が良いかなと思っています。前述のように、「affiliate」と言うと、アフィリエイト活動に従事する人、つまり日本語ではいわゆる「アフィリエイター」の意味になってしまいます。日本人の感覚では誤解しがちなので、注意が必要です。
また、これに関連して一つ面白い英単語があります。それが「commission」です。アフィリエイト(affiliate program)の文脈ではこの「comission」は何を意味するでしょうか?どんな日本語訳がいいと思いますか?
まずは、避けたい訳語から紹介します。それが「手数料」です。確かに「comission」には「手数料」という訳があります。文脈を抜きにすれば可能性は大いにあります。しかし、アフィエイトにおいては、普通、ものやサービスを紹介することで手にできる対価のことを手数料とは言いません。
ここで思いつきたい(または、考えることなく選びたい)言葉が「報酬」です。アフィエイトでは報酬という言葉がよく使われます。「成果報酬」や「成功報酬」とすると紹介が成功した場合に受け取ることのできる報酬という意味合いを強調でき、業界について「お、知っているな」という印象は与えられます。
つまり、アフィリエイトにおける「comission」は「報酬」や「成果報酬」または「成功報酬」と訳したいものです。中にはカタカナで「コミッション」としている場合もあるかもしれません。私個人の経験では、この文脈においてカタカナ語の方はあまり馴染みがありません。
おまけに、こんな話もしておきたいと思います。アフィリエイトを成功させるために、様々な努力をすると思います。例えば、記事を書いたり、SEOを勉強したり、SNSで定期的に投稿したり。そんなアフィリエイト周辺の活動をまとめてよく「affiliate marketing」といいます。
この「affiliate marketing」という言葉は(「marketng」という単語が入っているので宣伝活動に限定しているような雰囲気ですが)実際にはそんなことはなく、むしろ日本語で言うところの「アフィリエイト」を指して使われることも一般的です。
さいごに
今回は、大きな誤訳こそ起きないでしょうが、なんとなく気持ち悪い日本語訳になりそうな言葉をピックアップしました。一つの単語やフレーズが意味することが、言語間で違うことはあります。いや、むしろ多かれ少なかれ、定義の幅にズレが生じているのが当たり前です。だからこそ丁寧な訳し分けをしたいものです。
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