オンラインショップを運営している人であれば、日常的に「割引」という言葉を使うことでしょう。もちろん、それ以外のビジネスであっても「割引」は人の注意を誘うマジックワードです。
注意:英語では、magic word(s)と言うと、呪文の意味になってしまいますので、power word/パワーワードの方が適切です!マジックワードだなんて、余計な和製英語を使いましたね。
割引を英語にすると?
そんな「割引」ですが、英語にしたら、何でしょうか?まず最初に「discount/ディスカウント」 が頭に浮かぶと思います。これでも正解ですし、問題ありません。しかし、私が日頃から、英文を読んでいて出会う表現は別にあります。それが「save」です。
違う意味でお馴染みの「save」
saveの意味として一番日本の方々に一般的なのは「〜を守る、保存する」といったところではないでしょうか。しかしここでの意味は「〜を節約する」という意味になります。具体的には以下のように使われます。
Save up to 20%!! = 最大20%割引/最大20%オフ!!
細かい点ですが、こんな時にはいつも英語では、命令形が使われますね。決して「節約しろ!!」ではありませんのでご注意ください。マーケティング的に自然な日本語にすると「…オフ!!」でもいいですし「…割引をゲットしよう!!」くらいのフランクさでもいいかもしれません。
「save」を宣伝文で使う時の注意
上記の内容を踏まえまして、もし日本語から英語に、「割引」という言葉を使った宣伝文を訳したいなという時には、ちょっとした気遣いが必要です。すでに知っている方はいいのですが、英語に慣れていない人は要注意です。日本語の原文が仮に「最大30%の割引をご利用ください」だとします。すると、この丁寧さを不自然なかたちで英語に反映してしまう誤訳がこちら。
(×)Please save up to 30%!
間違いです。気持ち悪いです。これがどんな印象を与えるかというと「お願いします、どうか、最大で30%の割引を利用してもらえないでしょうか!」と懇願しているみたいです。「割引を利用してもらえないと、私、死んじゃうんです!」という意味で使いたかったら…この文章で意味が通じます。
「save」を使った「割引」の発展形
他にも、もう少し話を進めて、こんなことも言えます。
Sign up now and save up to 30%!
今すぐ登録で最大30%割引をプレゼント!
便利な表現ですね。決して「please」は使わないでください。すがりついている感じになります。そして、ここでのポイントは「…now and」の部分です。ここに好きな言葉を入れてアレンジしてください。他にもこんな具合に色々と応用することができます。
- Shop now and save up to 30%! = 今すぐお買い物で30%割引をプレゼント!
- Pay now and save up to 30%! = 今すぐお支払いで30%割引をプレゼント!
- Book now and save up to 30%! = 今すぐご予約で30%割引をプレゼント!
- Call now and save up to 30%! = 今すぐお電話で30%割引をプレゼント!
宣伝文の主体が変わっている件
もう少しだけ話を進めましょう。お気づきでしょうか?「プレゼント!」という表現を日本語では使いました。プレゼントする主体は誰でしょうか?そうです、あなた、または、ショップ側です。ただし英語を見ると…「save(節約)する」主体は誰なのでしょうか?そうです、お客さんです。
この違いが面白いものですね。
- 日本語 = お店側が(お客さんに)プレゼントします
- 英語 = お客さんが割引を獲得できます
日本語についてはレパートリーとして「(お店が)プレゼントします!」とも「(お客さんが)割引をゲット!」とも言えますので、主体がお店でもお客さんでも、どちらでも自然ですね。
英語の宣伝文では語りかけ方が直接的
一方で、英語では圧倒的にお客さん側(つまり、その宣伝文を読んでいる人)が主体になります。そうですね…よりニュアンスの違いを強調するならば…「そこのあなた、そう、この文章を読んでいるあなたに、この割引をどうぞ!!あなたに得をして欲しいんです!!」という迫力があります。
お店側が主体だとより説明的になる
英語であっても、お店側から「We will instantly send you a coupon code…/即座にクーポンコードをお送りします」などのことは言えますが、これは非常に説明的であり、より一般的なメールのやり取りに使えます。

「save」をもじった宣伝文句
ちょっとしたオマケで、こんな言葉遊びもご紹介します。この記事の冒頭部分で「save」の意味として「〜を守る」を挙げました。この時の「save」はこんな文章で使います。
Save the earth! = 地球を守ろう!(エコな文脈で)
素晴らしい表現ですね。私ももっと地球を守りたいものです。
ちなみにここで言う「守る」には「protect」のような「守る」の意味はありません。「protect」ですともっと「武装したり、防御を固めたりして、何かを守り抜く」ということになります。宇宙からの侵略者から守る、といった具合ですね。
そして、話を戻しますと…上の「save the earth」を使った、こんな小気味いい表現を見つけました。
Save the Earth, and Save Money Too
地球を守り、お金も節約
「save」の2つの意味を使って、リズミカルに表現しています。もちろん、上の例では「お金を守る」ではありません。「節約する」という意味になります。このように英語では、同じ言葉を使ったり、または発音が似ている言葉を並べて宣伝文句に利用することがよくあります。耳に心地いいですし、すっと頭に入ってきます。
もしもそこまで考える余裕があれば、ただ「割引できますよ」だけじゃなく、聞いていて「なんか気持ちいいね」と思ってもらえる体裁も整えたいものです。
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