【侍も訪問した?】エジプトのスフィンクスにまつわる興味深い5つの事実

 

エジプトというとまず頭に浮かぶイメージは、ギザの3大ピラミッドと大スフィンクスではないでしょうか。ピラミッドと同じように、スフィンクスはたくさんの謎に包まれています。今回はこのスフィンクスにまつわる興味深い事実 (定説)についてお話ししたいと思います。

 

まずは、ギザの大スフィンクスについて簡単に説明します。

 

大スフィンクスは1つの石灰岩から掘りだされたものとして世界最大の像で、長さ約73メートル、高さ20メートル、幅19メートルに及びます。ライオンの体と王家の頭飾りで飾られた人間の頭が特徴です。古代エジプトでは、スフィンクスは神や王の守護するシンボルとして神聖な存在で、他にも複数の像がありますが、ギザのスフィンクスが一番有名で、一般に単に「スフィンクス」と呼ばれています。

 

1. 誰が建造したの?

 

エジプトのスフィンクスにまつわる興味深い5つの事実

 

スフィンクスを誰が建造したかについては、たくさんの説があります。定説では、紀元前2500年ごろ、第四王朝カフラー(紀元前2603- 2578年)により、カフラー王のピラミッドと共に作られたとされています。その根拠としては、以下の事が挙げられています。

 

  • スフィンクスの前足の間から発掘された碑文の最後に「Khaf」の文字があった。
  • スフィンクスの顔に似ているカフラー像がスフィンクスに隣接する河岸神殿の遺跡から発見された。
  • スフィンクスに隣接するスフィンクス神殿は、カフラー王の河岸神殿の構図と類似している。
  • カフラー王のピラミッドの横の葬祭殿からスフィンクスまで参道が延びるなど、カフラー王のピラミッドと建物の一体として設計されている。

 

2. 驚きの天文現象

 

エジプトのスフィンクスにまつわる興味深い5つの事実

 

春分・秋分の日の太陽の動きを調べると、太陽はスフィンクスの肩に沈み、さらにそれを超えるとカフラー王のピラミッドの南側の地平線に沈みます。同時に、王のシンボルであるスフィンクスとピラミッドの影が、合成されたシルエットになり、王が太陽神に寺院で供物を差し出すことを象徴しているように見えます

 

また、夏至の日にスフィンクスの近くに立つと、カフラー王とクフ王のピラミッドのシルエットの真ん中に太陽が沈むように見えることが発見されました。このシーンは、地平線を表し、再生と復活を意味する「アケト」という二つの山の間に太陽が沈む象徴文字に似ています。 このことはスフィンクスが、後にホルエム・アケルト「地平線上のホルス」、太陽神の化身と呼ばれ崇拝された起源と言われています。

 

カフラー王はピラミット、スフィンクス、寺院を繋ぐ太陽の天文現象によって、王の魂の復活を意図して、このような巨大建造物群を建造したと考えられるようになっているのです。

 

3. スフィンクスの名前の由来

 

エジプトのスフィンクスにまつわる興味深い5つの事実
写真であまり紹介されることのないスフィンクスの尻尾と後ろ足

 

スフィンクスはギリシャの神話に出てくるライオンの体と人間の頭を持つ生物ですが、実は、スフィンクスという言葉は、像が建てられてから約2000年後にあるギリシャ神話に由来していているので、古代エジプト人(紀元前 2613~2181年)が当時どう呼んでいたのかは記録がなく謎のままなのです。しかし、大スフィンクスは、新王国時代(紀元前1570~1069年)には、上記にあるホルエム・アケト「地平線上のホルス」と呼ばれ、神格化され、歴代の王に崇拝されました。

 

4. 歴史上長い間砂に埋もれていた

 

エジプトのスフィンクスにまつわる興味深い5つの事実

 

スフィンクスが風化に弱い石灰石で作られているにもかかわらず、長い間完全崩壊を免れているのは、建造されてほとんどの間、砂に埋もれていたからとわかっています。スフィンクスは何度も大修復がおこなわれ、その度に砂に埋没していました。

 

最初の大修復は、建造から1000年以上後のエジプト新王国時代第18王朝のトトメス4世によって行われました。碑文には、夢に現れたスフィンクスは、自分のことをホルエム・アケトと呼び、砂から掘りおこしてくれたら王にしようとお告げを受けたと書かれています。修復された大スフィンクスは鮮やかに塗装され、周囲に風化を防ぐための壁が建てられました。

 

その後、ローマ時代にも大修復されています。

 

ナポレオンが1798年に訪れたときはスフィンクスの首下は砂に埋もれていましたが、1800年代初期から考古学チームが砂から掘り起こす作業をし、1887年には大部分が砂から出ました。

 

そして、現在の姿となったのは、エジプト考古学博物館により寄付が集められ再度発掘され、1926年から1988年にかけて大規模に行われた修復によります。

 

しかし、今も風化は進み、継続的に修復工事が行われて保存されているのです。

 

5. スフィンクスを訪れた最初の日本人

 

エジプトのスフィンクスにまつわる興味深い5つの事実
Image: WikipediaCommons

 

最初にスフィンクスを訪れた日本人は誰だと思いますか?

 

幕末に再度鎖国することを認めてもらう交渉のために幕府がヨーロッパに派遣した外国奉行の池田長発をリーダーとする日本の侍の使節団が、和服姿でスフィンクスの前でとった写真が残っています。この写真には、スフィンクスの顎の下あたりに、登ろうとしてずり落ちそうになっている1人の侍の姿がぼんやりと写っています。1864年、なんと150年以上前です。

 

いかがでしたか? スフィンクスは見る人々にはるか昔の人々の営みを想像させてくれるロマンに溢れる存在ではないでしょうか。現在エジプト政府は保存に力を入れているので、謎の解明に繋がる発掘や探究にはまだまだ時間がかかると思われますが、長年の多くの考古学者の努力により、見つけだされた事実から謎がこれからも少しずつ紐解かれていくのだと思います。

 

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