“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: NBC News

 

ベネズエラの危険すぎる治安?

 

ベネズエラの治安は世界でもトップレベルに悪いと言われています。

 

実際に、犯罪率の高さや情勢の不安定さは要注意!そこで、今回は、ベネズエラの治安を深いところまで、徹底的にご紹介します!

 

ベネズエラの治安1:ベネズエラがヤバい…?

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: Overpasses for America

 

この記事の執筆段階で、一番問題になっていることから扱いましょう。

 

現在、ベネズエラは世界でも有数の危険な国となっています。治安が乱れ、連日、世界のニュースが、これの近況を放送するほどです。

 

日本のニュースは、どこか世界のニュースとは方向性が「ずれて」いて、肝心なことを全然扱わない傾向にあります。

 

マドゥロと“荒れるベネズエラ”

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: CBC News

 

今、ベネズエラは経済的に、そして政治的に、非常に危険な状態にあります。

 

ベネズエラの前大統領は、かの有名なウゴ・チェベスでした。ベネズエラの英雄として知られています。(「独裁者」呼ばれることも多々ありましたが…! ━ そして、彼を民主主義者と形容する例も)

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: Radio Cadena Agramonte

 

そのチャベス大統領が3月5日に死去し、次の大統領となったのが、現在の大統領である、ニコラス・マドゥロ(発音の際にはマドゥーロとなります)です。

 

この政権が力を握ってから、経済のコントロールが利かなくなり、国が混乱に陥っています。政府に対する不満が爆発した市民が暴動を相次いで起こす事態なのです!

 

ベネズエラの治安2:石油が豊富なのに貧乏?

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: Parallels

 

ベネズエラといえば、「石油が豊富に眠る国」として有名です。単純に考えれば、アラブの王族のような大金持ちが群雄割拠していてもよさそうですが、実際は、そうではありません。

 

この理由として、ある一つの興味深い意見があります。

 

そもそもスペインの侵略のせい?

 

そもそも、歴史的に、ベネズエラに進行してきたスペインが関係しているとする説です。当時から、スペインが全ての利益を独り占めし、それを確保する体制を築いてきたというのです。

 

補足

ベネズエラをはじめとして、南米各地をスペインが侵略したことで、その国々に「負の遺産/システム」が残ってしまったことを説明する文献としては、個人的には(英語)『Why nations fail』という本をおすすめしています。

 

そして、その流れが、現在の、ベネズエラの社会システムにも残っているという話です。

 

Why did the Spanish come to South America? The same reason that the English came to North America. Gold. In the South, they were able to find it. In the North, it would take until the Gold Rush of 1849 in California for the United States to really get into the gold producing game. (引用 – Quora

 

上は、一部を引用したものです。最初にスペインがベネズエラを進行した理由として、金の獲得が説明されています。とはいえ、あくまでも個人による意見なので参考程度にとどめましょう。

 

ベネズエラの治安3:バス運転手→独裁者に?

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: Panam Post

 

先ほどもお話ししたように、現在の大統領はマドゥロです。実は、このマドゥロは、もともとバスの運転手でした。そこから、労働組合などの地位をたどることで、ここまでのし上がっています。

 

大統領がマドゥロになってから…

 

前大統領のチャベスが死去した後、この人が大統領となりました。それ以来、ベネズエラ国内で、ものの値段が上昇し続け、国民の怒りがどんどん蓄積!

 

そしてついに、2014年から、路上での反対運動が過激化し始めるようになりました。現在、記事の執筆は2017年ですが、ベネズエラの治安と経済の悪化は、今に始まったことではないのです!

 

厄介な独裁者の道へ…?

 

それ以来、マドゥロは、政敵を逮捕したり、国民の権利を抑圧することで、どんどんと独裁化への道を辿っているとして、ベネズエラ国民からの批判が高まっています。

 

補足

マドゥロを責める人の中にも何種類かの主張があります。代表的なものはこちら。

実務上のチャベス支持者:「マドゥロの実施した政策が原因で、彼自身が無能となった」

観念上のチャベス支持者:「マドゥロから社会主義の要素が欠損していたことが原因だ」

 

もちろんこれは恐怖です!現在、ベネズエラの人々は、国民のこと第一に考えない実質的独裁(もちろん独裁にも、色々な種類があるので一概に全てが「良い/悪い」とは言えません…)が本格化する前に、なんとかしようと、必死に頑張っているということですね。

 

ベネズエラの治安4:ベネズエラには「何もない」?

 

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Image: Bloomberg

 

経済の深刻化は、本当にひどいものです。ベネズエラでは、現在、深刻な「もの不足」が発生しています。(上にある写真はパン屋にできた行列です!)

 

パンもトイレットペーパーもない?

 

薬や、特定の食材を求めて、店の前に行列をつくる人々。さらには、食料運送用のトラックや、スーパーを襲う暴徒まで。

 

“世界最悪の経済と治安”4章で見るベネズエラの今(暴動・物資不足の訳)

Image: VICE News

 

2014年には、「トイレットペーパーを確保するために隣国へ」という地元民の声が、世界中からの注目を集めました。

 

石油はあるのに燃料不足?

 

ベネズエラでは燃料の不足も深刻化しています。もちろん、これは、自動車などのあらゆる工業製品、生活の一部にとって欠かせないエネルギーです。首都カラカスのガソリンスタンドには、長蛇の列が。

 

ベネズエラ国有の、石油、天然ガス会社であるPetroleos de Venezuela SAは、事態は安定化していると、発表しているものの、他方から、「Petroleos de Venezuela SAが、海外からの負債を払うために、わざと、費用の高い燃料の輸入を削減したのだ」という声も出ています。

 

補足

ちなみに、ベネズエラは本来、世界トップクラスの「ガソリンの安い国」です。Bloombergのサイト上にある、世界のガソリン価格が確認できる検索機能を使ってみると、このような結果となりました。

 

 

「ゲージが右に行けば行くほど高く、左側が安い」という意味です。気になるベネズエラのガソリンの価格は、一番左、緑色の部分です。1ガロンの平均が驚きの0.01ドル(=現在のレートで1.09円)となっていますね。

 

世界有数の石油保有国なのに、ガソリン不足。ひどい状況です。ベネズエラでは、うまく、ガソリンの流通が行われていません

 

ベネズエラの経済は、まさに、石油価格の低下により、強烈なダメージを受けています。本来、石油は、ベネズエラの輸出の約95%を占めるもので、経済の要です。

 

「世界一の国ベネズエラ」の悲劇

 

サウジアラビアを抜いて、世界一の原油埋蔵量を誇ると言われるベネズエラが、このような危機に苦しむ状況は、衝撃的の一言です。

 

現に、ベネズエラは、国内のインフラの老朽化と投資の不行き届きのせいで、自分の国の石油をうまく扱うことができず、ここ数年間で、海外から多量のガソリン(つまり精製された状態)を輸入しているほどです。

 

「資源=経済の成功」という嘘

 

当たり前のことかもしれませんが、改めて思い知らされるものです。

 

資源が豊富にあるからといって、それが適切に管理されなければ、しっかりと経済の発展にはつながらないということです。

 

「戦争よりもひどい」

 

このベネズエラという国に、多量の原油が埋まっているというのは、なんとも皮肉な話です。

 

ベネズエラの首都カラカスに住む、私立学校の教師ベッキー・ジョーダンさんは、CBC Newsの取材に対して、「戦争よりもひどい状態にある」と語っています。

 

何年間にもわたり悪化の一途をたどるベネズエラの経済と治安、そして国民の生活の改善を心の底から願うばかりです。

 

ベネズエラのおすすめ書籍

 

『音楽で貧困を救う』

 

 

『チャベス 革命を語る』

 

 

『ベネズエラ エンジェルフォール』

 

 

 

 

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