今回のテーマは「reseller」という英単語の意味についてです。この言葉には、気持ちの悪さを感じます。
英語に関連するお仕事をする際に(特に、この言葉を日本語にする必要があるとき)「なんだか…う〜ん」と思うことが何度もありましたので、その真相をご紹介します。
「reseller」にありがちな日本語訳
まずは「reseller」にどんな日本語訳があてられがちなのか、というお話から。実際に多くのサイトで「reseller」=「再販業者」という言葉が使われています。あなたはどう思いますか?私は、この言葉を見て…「え…気持ち悪い」と毎回感じます。
決して「間違ってはいない」のだと思います。しかし、ここでの論点はそこではありません。「自然ではない」と思えて、仕方ありません。日本語としての、歯がゆさです。
再販業者と聞くと、どんな業者をイメージするでしょうか?私であれば「既存の製品を購入し、それを、別の人に売る」…そんな業者です。つまり…転売をしている業者、というイメージを抱いてしまいます。
「reseller」は転売屋なの?
結論からお伝えしますと「reseller」が「転売人」を意味することはできます。
とは言え…私の経験上、ビジネス関係、そして、メーカー関係の文書で何度も「reseller」という言葉を目にしてきましたが、それが「転売屋」を意図していたことは一度もありません。
もしこれが「転売屋」か何かだとすると、メーカーが取扱説明書で「弊社商品の修理のご依頼につきましては、ご利用の転売屋までお問い合わせ下さい」という説明がまかり通ることになります。考えるだけで、恐ろしいとともに、妙な楽しさがあります。
メーカーが、自社製品がいずれは転売されることを理解し、それを認めた上で取扱説明書を作っていることになってしまいます。
ちなみに「再販業者」の使われる場面
ちなみにですが、「再販業者」という言葉がどのような場面で、ちゃんとした日本語として使われているのか調べてみました。
すると、どうやら「買取再販業者」というものがあり、これは、中古の家を買って、リフォーム(正しい英語では「リノベーション」ですが)して、販売することを生業とする業者のようです。
ですので、どうしても「再販業者」という言葉を使うと(転売屋のイメージがあるかどうかは別として)、不動産業界を連想させる可能性は大いにありそうです。使用の場面は限られますね。
「reseller」=「販売代理店」がしっくりくる(かも)
自分のためのメモという意味も込めて、お伝えします。私は、大方「reseller」を「販売代理店」という訳とすることを、出発点としています。
注)しかし、これで一件落着ではありません。あくまでも思考の「出発点」です。続きをご覧下さい。
「reseller」の英語での意味を確認する
せっかくなので、「reseller」の英語での意味を確認しておきましょう。Cambridge Dictionaryには、このようにあります。
a company that buys products from manufacturers and sells them to customers:
つまり…「メーカーから製品を購入して顧客に販売する会社」です。ここでは、個人では無く会社に限定されています。
さらに、ここである大事なことに気づきます。「製品を購入した上で、それをお客さんに販売している」ということです。お気づきでしょうか?解釈について、注意が必要です。
「在庫を抱えているかどうか」に注意
先ほどは「再販業者」で概ね問題ない、という発言をしましたが、これだけでは、非常にいい加減です。「reseller」なら「再販業者」で訳せばいい…と言い切ることはできません。
上の英語の定義からは「製品を購入した上で、それをお客さんに販売する」ということがわかりました。つまり、在庫を抱えています。ここがポイントです。
そして、日本語の「販売代理店」の定義を調べると「サービスや商品の販売を代行する(請け負う)会社」であることがわかります。そうです、決して、商品を先に購入して、在庫を抱えているわけではないのです。
そうなると「…buys products(商品を買い)」という部分と合致しません。そこで、代わりにこんな言葉を提案します。
「販売代理店」と「販売店」の意味の違い(特に法律の観点から)を比較すると、面白いことがわかります。
- 代理店=サービスや商品の販売を代行する(請け負う)会社
- 販売店=商品を買い取って、それを販売する会社
ですので、上のCambridge Dictionaryの説明にどちらの方が合致するかというと、明らかに後者の「販売店」ということになります。これで、ようやく気持ちいい訳にたどり着けました。
結論:「reseller」は「販売店」であると考えたい
「reseller」は「販売店」であると考えたい…という結論にいたった経緯をまとめますと、以下のようになります。
疑問:「reseller」=「再販業者」には「転売屋」感がある?(調査の結果、不動産業界を連想させる可能性も浮上)
↓
「販売代理店」の方がしっくり来ているかも
↓
でも「在庫を抱える」という形態とは一致しない(よって、Cambridge Dictionaryの定義とは合わない)
↓
それなら「代理店」ではなく「販売店」がよさそう
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