飛行機で移動する際にどうしても避けられないのが、オーバーブッキングに遭う可能性です。海外旅行に行くために前々から予定を組んで飛行機を予約している場合や、旅慣れていなくてなるべく不測の事態を避けたい人にとって、オーバーブッキングは常に心配の種になっていることでしょう。
オーバーブッキングは、当日にキャンセルしたり搭乗時間までに現れない乗客が一定数いることを見越して過剰予約を受け付けるために起こるもの。予定数のキャンセルが発生しなかった場合に、予約した乗客数が実際の座席数から溢れてしまうのです。その際には航空会社は便を変更してくれるボランティアを募りますが…それでも予約過剰分が解消されない場合には、やむを得ず搭乗拒否される人が出てしまいます。
「そうは言っても、そんなことは滅多に起こらない」と考えているかもしれませんね。
ですが、オーバーブッキングは法律で守られた航空会社の権利であり航空会社は利益保証のために常に過剰予約を取っているので、これによる搭乗拒否もある程度の割合で発生しています。実際にオーバーブッキングによる座席数不足が発生してから慌てる人は多いようですが、逆に言えば事前に心構えをして取るべき対策を取っておけば、そんな状況でも少しばかり有利になるということです。以下に、オーバーブッキングについて知っておくべきことと、そんな状況でもできることをご案内します。
Useful sources: Cheetsheet, jacksonville.com
1.なるべく早くチェックインする
オーバーブッキングによって搭乗予定の飛行機に乗れなくなるのを防ぐには、とにかく早めにチェックインしてしまうのが得策です。これは、大抵なら最後にチェックインした人がオーバーブッキングの際に真っ先に降ろされてしまう可能性が高いから。
早めにチェックインするために、オンラインのチェックインシステムを利用してください。チェックインには予約時のメールアドレスに届くオンラインチェックインの案内リンクから進むか、航空会社のアプリまたはホームページから行えます。通常、オンラインチェックインは24時間前から受付開始になります。空港に行ってから列に並んで待つ時間を省略でき、そして、結果としてオーバーブッキングで乗れなくなる可能性も少なくできます。
2.座席指定しておく
座席指定しておくのも、オーバーブッキング発生時に搭乗拒否に遭わないためにある程度の効果が見込めます。
その理由は、予約時には座席指定料金がかかってしまうものの、これも「搭乗拒否しやすい対象」にならない為にできることのひとつと考えられるから。予約時に座席指定をした人は既に座席配置が決定されているので変更しにくいのですが、そうでない人は当日空港に行ってチェックインまで座席が確定していないため、搭乗拒否の候補になり易くなります。
残念ながらオーバーブッキングの際に確実に搭乗できる方法はありませんが、少しでもリスクを減らすという考え方で対策するのが良いと思います。
3.家族の予約は一緒にしておく
家族で飛行機に乗る場合、予約は一緒に行うのがお勧め。予約情報が繋がっていると連結したひとつの予約として扱われるため、子供を含む家族連れをなるべく搭乗拒否したくない航空会社にとって対象外となり易いようです。
家族連れに別便への振り替えを頼むには全員が同じ便に乗れるだけの座席数を探す必要がありますし、それよりは個人の搭乗者から聞いていくということでしょうか。
4.荷物を預け入れる
ここまで読んできてお分かりの通り、航空会社がオーバーブッキング解消のため搭乗拒否をする人は、通常はなるべく搭乗拒否しやすい人から対象になると考えられます。このとき既に荷物を預け入れてしまっている人を搭乗拒否すると、その荷物を探して降ろさなければなりませんね。そこで、荷物を返却する時間や手間をかけないために、航空会社としては預け入れ荷物がある人の搭乗拒否はなるべく避けたいはずなのです。
常に預け入れ荷物があるとは限りませんが、特にオーバーブッキングで搭乗拒否に遭いたくない国際便などでは、搭乗拒否の対策という観点から考えると大きな荷物は預けてしまう方が良いかもしれません。
5.上級クラスの航空券の購入を検討する
オーバーブッキング発生時、それがエコノミークラスの座席だけである場合には、まずは座席アップグレードのボランティアを募って上級クラスのシートに移動させることでオーバーブッキングの解消が測られます。
これは、エコノミークラス以上のクラスの座席の方が比較的空いていることが多いから。
ですが、もし移動を希望する人がいない場合、もしくは数人を移動してもオーバーブッキングが解消されない場合には、予約数が溢れているエコノミークラスから搭乗拒否していくことが考えられます。このあたりも踏まえると、もし可能であればエコノミークラス以上の航空券を買っておけば、オーバーブッキング発生時に搭乗拒否されるターゲットになりにくくなると言えます。
6.搭乗口に早めに到着する
オーバーブッキングによる搭乗便の振り替えボランティアの募集は、当日に行われることもあれば前日までにメールなどを介して行われる場合もあります。もし当日になってもオーバーブッキングが解消されておらず誰かが航空会社による搭乗拒否の対象に選ばれてしまうような状況では、最後に搭乗口に現れるのだけは避けた方が良いでしょう。これは、航空会社によっては「最後にチェックインした人」を搭乗拒否することにしていることがあるからです。
また「No-show(ノーショウ)」といって、予約をキャンセルする訳でもなく搭乗時刻を過ぎても現れない乗客もいるため、搭乗口に着くのがギリギリだと乗らないのだと勘違いされてしまうかもしれません。もちろん確実に搭乗拒否されないと保証できる方法はないですが、搭乗予定の便で当日に搭乗拒否が行われる可能性は十分にあるので、それを踏まえて早めに搭乗口に向かう方が安全ではないでしょうか。
7.自分の座席番号のグループが呼ばれたら遅れずに搭乗する
搭乗口から飛行機に乗り込む際、大抵なら優先搭乗を希望する人に続いてプレミアム会員などが呼ばれ、その後に座席番号によって航空会社が仕分けたグループごとに呼ばれたら搭乗するという流れになりますよね。
そのとき、「混雑するから、最後の方に乗り込めば通路も空いているだろうしいいだろう」とばかりに座って待っている人を見かけます。ですが、これは海外の空港から乗る際などは特に、お勧めできる方法ではありません。
自分のグループが呼ばれた際に搭乗せずにいると、航空会社によっては「時間までに搭乗口に現れなかったので座席を譲り渡しても良いだろう」と判断してしまうことがあると言います。特にオーバーブッキング発生時には、これにより搭乗拒否される可能性も否めませんから、自分の座席グループが呼ばれたら混雑していても列に並び、搭乗してしまうようにしましょう。
8.振り替え希望者の募集に一番に挙手しない
通常、オーバーブッキングが起きて自主的に振り替え便に変更してくれるボランティアを募集する際には、航空会社は補償金(場合によってはホテル代も)を支払います。もちろん、この記事をお読みの大半の人は、なるべくなら上述した方法を駆使して予定通りの便に乗りたいところでしょうから、自主的に振り替え便のボランティアに挙手することはないかもしれません。
しかし、「日程に余裕があるから振り替え便に変更しても良い」という場合には、挙手するのを少し待ってください。わざわざ予定していた便の変更に名乗り出るのですから、誰だって損はしたくないですよね?
ただし、ひとたび降りますと挙手してしまえば取り消すことはできないので、よく考えてからにしましょう。強制的に搭乗拒否に遭った場合でも補償金を受け取る権利があることを知り、また志願して便を変更する際はどのような仕組みかも事前によく理解しておくのが重要です。
例えば家族数人で一緒に搭乗予定だった場合、航空会社が求めるオーバーブッキングの座席数を確認してからでないと、家族の何人かだけ別便に振り替えられてしまう可能性もあるのです。それから、補償金の形態はクーポンなどのこともあるので、よく確認が必要であることも覚えておきましょう。通常、あまり頻繁に飛行機に乗らない人には現金の方が使い勝手がよく、またクーポンは様々な制約が付いているものだからです。
9.搭乗拒否に遭った際の権利を理解する
搭乗拒否をするのは航空会社の権利であり、それを乗客が拒否して居座ることはできません。とはいえ、飛行機から降ろされた際の自分の権利についても事前に理解しておきましょう。まず、意思に反して搭乗拒否に遭う乗客はそんなに多くはありません。
ですが、それでも降りなければならなくなった場合には、いくつかの例外(振り替えのフライトが予約便の到着時刻の1時間以内に目的地に着くなど)に当てはまるケースを除いて、航空会社は補償金を支払わなければいけない決まりになっています。
そして、この金額は航空会社によって異なるのですが、例としては飛行距離や、代替便に振り替えたことによる予定到着時刻からの遅れなどによって決定され、これが片道運賃の何倍もの金額になることもあります。また、最終的な金額は他の乗客がどの程度の金額で席を譲ることにしたかにも影響されるようです。
可能な限り、保障はクーポンではなく現金を希望した方が多くの人にとっては良いのは前の項目で上述したとおりです。ですが、航空会社側はデフォルトとしてクーポンでの補償を提示することも多いので、その際は明確に現金での補償を希望しましょう。また、意思に反しての搭乗拒否で何を要求できるのかを知りましょう。
国ごとの航空に関する法律や航空会社ごとの規定によって決められた補償のルールがあるので、搭乗拒否に遭った際には調べて航空会社に連絡すると、最大限の補償が受けられる可能性も。例えば預け入れ荷物や座席指定などの付加的なサービスに対しても補償を要求出来たり、ホテルの滞在費や食事代も保証してもらう権利があるのです。
10.補償の例外もある
オーバーブッキングによるフライト変更後の便の到着時刻が予約していた便の到着時刻から1時間以内の場合に、航空会社による補償の義務がないというのは上述の通り。では、その他はどんなケースがあるのでしょうか。
国や航空会社による規定の違いには常に注意が必要ですが、例として、予約やチェックインなどの規定に従わなかった人は、当然ながら補償が受けられないようです。また、使用される航空機が航空会社によって予定より小さな航空機に代替された場合にも、補償の対象外になり得ます。
このあたりは実際にオーバーブッキングに遭った時点では分かりにくいかもしれませんが、自分の権利については納得いくように確認し、そのなかで例外もあることも頭の片隅に入れておくのが良いですね。
11.クーポンや無料航空券を貰う場合は要注意
クーポンや無料航空券は乗客が同意した場合のみに提供されますが、航空会社は近年、現金の代わりにこれらを提示することが多くなっています。オーバーブッキングされたフライトから降りることにして代わりにクーポンや無料航空券を貰う場合には、その規定に要注意です。
Business Insiderによれば、これらのクーポンや無料航空券に関する使用規定は航空会社やチケットの種類などによって大きく異なるため、補償金額の交渉に囚われて使用既定の確認を忘れることのないように気を付けなければなりません。例として、搭乗予定だった便の航空会社が販売しているチケットでも、その航空会社が所属する航空連合の他の航空会社の便にはクーポンが使えないことや、フライトの目的地の制限があることがあります。
また上記のBusiness Insiderの記事で指摘されているように、クーポンや無料航空券の期限は通常なら1年と短く、それ未満のこともあるため要注意です。
12.代替便の条件を明確にする
もし予約していた便から降りて(もしくは搭乗拒否に遭って)違う便に振り替えてもらう場合、その代替便の条件をしっかり確認する必要があります。例えば、あなたは確実に乗れる便の座席を確保したいのに、航空会社から「次の便のキャンセル待ちリストに入れておく」ことを提案されるかもしれません。
また、提案された代替便の到着時刻ではあなたにとって遅すぎるかもしれません。もちろん常に希望通りにはいかないかもしれませんが、交渉したり確認したりすることで、少しでも満足のいく結果に近づけられるでしょう。
13.遠慮せずに補償について交渉する
もし代替便にしても良いと考えたときは、遠慮せずに最大限の権利を主張しましょう。航空会社側は初め、ある程度の補償金額やクーポンを提示してくるはずですが、この時点で必ず受け入れる必要はありません。もしクーポンの金額について交渉したい場合や、無料航空券の使用期限を少し伸ばしてほしい場合などには、遠慮せずに伝えて良いのです。もしくは、代替便を待つ間に使える食事券を付けてもらう方法もあるかもしれません。
搭乗拒否に遭ったことで最終目的地に着くまでにかかる金額が予約便で移動した場合を超えるときには、航空会社に補償してもらう権利があるのです。航空会社はオーバーブッキングをなんとか解消するために降機しれくれる人を探しているので、交渉すれば融通してもらえる可能性が高いでしょう。
加えて、乗るはずだった便の予約時に料金を支払ったサービスに関しては全て補償してもらえるようにしたいところです。代替便が見つかって目的地に行けるだけでも安心してしまいがちですが、例えば予約していた便で預け入れ荷物の追加料金を支払っていたり、座席指定料金を払ってある場合もありますよね。もし代替便の搭乗時に再度これらの料金を請求されたり、振り替え後には座席指定ができなかったりした場合には、支払い済みの料金を払い戻ししてもらうよう要求しましょう。
14.次回は賢く航空会社を選ぶ
ここまでオーバーブッキングについて読んできて、「オーバーブッキングには遭いたくない」と強く思った人もいるでしょう。そんなひとは、次回フライトを予約する時にはぜひ賢く航空会社を選んでみてください。例えば、comparecards.comの調べによればSkyWestなどの地域航空会社はオーバーブッキングによる搭乗拒否がダントツに多いことが知られていますし、続いてデルタ航空やユナイテッド航空、サウスウェスト航空なども搭乗拒否に関してはワーストの部類に数えられています。
逆に、ジェットブルー航空やハワイアン航空では滅多に搭乗拒否が起こっていません。常に航空会社を選べるとは限りませんが、「搭乗拒否に遭いやすい航空会社」というのもあることを覚えておき、なるべく避けるのも手かもしれません。
15.ロイヤルティプログラム入会を検討する
多くの航空会社には、特典やマイレージ加算を売りにしたロイヤルティプログラムがあるものです。これは統計的なものではないのですが、オーバーブッキングの際には航空会社はロイヤルティプログラムの会員を搭乗拒否することは稀だと言われています。
そこで、飛行機に乗る際にいつも適当な航空会社をランダムに選ぶよりは、ひとつの航空会社に絞って常連客のステータスを得る方が、搭乗拒否を避けるには良いと言えるようです。それに、ロイヤルティプログラムにはマイルが溜まったりホテル利用に関する特典が使えたりなどの利益もあるので、それで搭乗拒否に遭う可能性を少しでも減らせるならあながち悪くはないかもしれません。
16.ピーク時の予約を避ける
航空券を予約するときには、なるべく混雑した日や時間帯を避けるのが賢明です。これは、単純に空いているフライトほどオーバーブッキングが起こりにくく、搭乗拒否に遭いにくくなるからです。
航空券の予約時には金額の安いチケットや期間を調べる人が多いと思いますが、目的地や経路などを良く調べ、混雑しているフライトを避けることも同時に考えると良いでしょう。一般的には、フライトの予約では週の半ばが一番お得と言われています。金額的にお得ということは、つまり週の半ばが混雑しにくいということ。
更に、ビジネスで旅行する人が月曜や金曜に出張に出ると考えれば、週の半ばはそのような人が少ないと考えられます。これは、オーバーブッキングを避けるうえで重要です。なぜなら、出張フライトは会議日程の変更などに伴って突然キャンセルになったりするので、それを見越して航空会社は多めに予約を取る傾向があるからです。
曜日以外にも、例えば季節的に夏休みで旅行者が増えるシーズンなども要注意。単純に予約数が増えるので、オーバーブッキングも起こりやすくなることが考えられます。万が一の旅程の変更なども考慮しつつ、日程には余裕をもって、できれば混雑時を避けたフライトの予約ができると最善でしょう。
まとめ
「オーバーブッキング」について、耳にしたことはあってもよく知らなかった人も多いことと思います。この記事から、搭乗拒否の対策や実際に遭ってしまった場合の対処法が少しわかったのではないでしょうか。万全の備えをして、慌てないで対処できると良いですね。
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