【明快】「impractical」と「impracticable」の違い(TV番組でお馴染み)

 

 

今回は「impractical」と「impracticable」の重要な意味の違いをご紹介します。かなり誤解、混同されがちなので、整理しておきましょう。

 

私がそもそもこの2つの単語を扱おうと思ったきっかけは「impractical jokers」という名前のアメリカのコメディー番組(アメリカで繰り広げられる、4人の登場人物が悪ふざけをする番組)です。

 

この番組名の意味から考えて、徐々に、「impractical」と「impracticable」の違いも明らかにします。

 

「impractical jokers」という番組名の意味

 

「impractical jokers」という名前のもとになっていものとして、そもそも「practical joke」という言葉あります。これは「(人に迷惑を及ぼす)悪ふざけ」という意味です。「practical」には「実用的な、実践的な」という意味がありますが、これが「joke(ジョーク、冗談)」と組み合わさると「悪ふざけ」になります。まず、これを前提として理解してください。

 

  • practicalの基本的な(一般的な)意味=実用的な、実践的な
  • practical jokeとなった時の意味=悪ふざけ(人に迷惑をかけるもの)

 

これを踏まえた上で「impractical jokers」の意味です。「practical joke」をする人たちであればそのまま「practical jokers」でよかったでしょう。しかし、そうではなく「impractical jokers」という名前になっています。「im」がついていますね。

 

ある別のブログで「不可能なことをする」という説明を目にしましたが、個人的には、ちょっと違うかと思っています。というのも、「impractical」の本当の意味は「常識的に考えて、するに値しない、やるべきでない」だからです。

 

ですので、「impractical jokers」は「常識的に考えて実行が厳しい悪ふざけをする人々」という意味です。もちろん「practical joke」という言葉をうまく「impractical joke」に変えて使っている、こじゃれた番組名ということになります。

 

番組名の本当の意味とニュアンスがわかったところで、今度は「impractical」と「impracticable」の意味の違いです。

 

「impractical」と「impracticable」の意味の違い

 

「impractical」の意味は、先にご紹介した通りです。もう一方の「impracticable」は「実行できない、実際に行うことが不可能」という意味です。ですので、先ほどのブログで紹介されていた説明は、実際、こちらの「impracticable」であれば正解です。

 

両者の綴りの違いを見て下さい。注目すべきは「impracticable」の最後にある「-able」です。実際に行う(practice)ことが可能(able)ではない(im)という意味です。こちらが本当の「実行不可能」を意味する英単語であることがわかります。

 

  • impractical=常識的に考えて実行がふさわしくない、それに値しない
  • impracticable=実際に行うことができない、不可能である

 

ちなみに、この2つの単語について、Lexicoには、このように書いてあります。

 

Although there is considerable overlap, impracticable and impractical are not used in exactly the same way.

日本語では「かなりの(意味の)重複があるものの、impracticableとimpracticalはまったく同じ方法で使用されるわけではない」という意味です。さらに、このように続きます。

 

Impracticable means ‘impossible to carry out’ and is normally used of a specific procedure or course of action, as in poor visibility made the task difficult, even impracticable. Impractical, on the other hand, tends to be used in more general senses, often to mean simply ‘unrealistic’ or ‘not sensible’, as in in windy weather an umbrella is impractical

 

日本語では「impracticableは<実行することが不可能である>ことを意味し、視界の悪さにより作業が困難、実行不可能になるといった文脈等で、通常は特定の手順や一連の動作に対して使用されます。一方で、impracticalは、より一般的な意味で使用される傾向があり、風の強い日に傘を使うのは非実用的であるといった文脈等で、単に<非現実的>または<賢明ではない>を意味することがよくある」という具合です。

 

つまり「Impractical Jokers」がやっている悪ふざけは、決して「不可能である」わけではなく、「賢明とは言えない」ということ。

 

番組「Impracticl Jokers」についての補足

 

この番組について知らない方のために、「Impractical Jokers」の補足をしておきます。仲良し4人組み(いい年のおじさん達)が、町に繰り出し、耳につけた隠しイヤフォン越しに指示されたことを、拒むこと無く実行するというのが基本的なコンセプトです。主に(チーム戦もありますが)1人ずつその役割を担い、残りの3人は別室からあれこれと指示を出します。

 

カフェの店員に扮してお客さんからの注文をわざとド派手に間違えたり、街頭アンケートと称して道行く人にアホな質問をしたり…。別室からの指令に従うのが絶対的なルールで、これに背いた場合には負け(バツ印)となります。最終的にバツ印が最も多かった人が、特別な罰ゲームを受けることになります。

 

この番組の好感が持てるのは、基本的に他の人に失礼になるのではなく(そんなこともありますが)自分たちが恥ずかしい思いをするようにしている点です。4人の人間味も秀逸で、恥ずかしそうに、それでも、勇気を振り絞って指令に従う姿が、ハラハラします。そして毎回思うのが、一般の、巻き込まれた人たちの9割がいい人であること。

 

大抵は、変な顔をしたり、驚いたりしますが、それでも、優しく受け入れてくれます。この番組を見ると、彼らのアホさと同時に、アメリカの人の心の大きさがよくわかります。気になる方は是非ご覧下さい。私が個人的に推しているのは「サル(Sal)」という人です。

 

 

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