今回は「what is good for the goose is good for the gander」という表現を扱います。直訳や辞書にある意味に触れつつ、それよりもはるかに大事なニュアンスや使われ方、例文をご紹介します。おそらく、大部分の日本人の方々が、辞書にある意味を見るだけでは理解に苦しむはずです。
「what is good for the goose is good for the gander」の意味
辞書にあるものからご紹介すると「what is good for the goose is good for the gander」には「一方に言えることは、もう一方にも当てはまる」という意味があります。ただし、実際に、この英語の表現が使われた時に、このような「守りの、あまりにも説明的な」訳語を頼りにしても、なかなかしっくりこないものです。
むしろ、この訳語はあくまでも、辞書での説明であり、理解するための第一歩として使うのにとどめるべきだと考えています。これを出発点にしながら、どのようなニュアンスで、どんな意味合いを込めて使われるのかを理解しましょう。
ちなみに直訳すると「ガチョウのメスにとって良いことは、ガチョウのオスにとっても良い」です。
- goose = ガチョウのメス
- gander = ガチョウのオス
この段階で「?」が頭の上に浮かんでいても大丈夫です。大事なのはニュアンスであり、どんな状況でよく使われているかです。以下をご覧下さい。
この表現に込められたニュアンス
Merriam Webster の「what is good for the goose, is good for the gander」の定義を見てみます。
used to say that one person or situation should be treated the same way that another person or situation is treated
これを日本語にすると…「ある人や状況は別の人や状況と同じように扱われるべきだ、と言うために使われる」とのこと。
実際にどんな使われ方をしているのか(例文など)
そして、同サイトのページには、以下の例文が続きます。
If he can go out with his friends at night, then she should be able to, too. What’s good for the goose is good for the gander.
「彼が夜に友達と出かけることができるなら、彼女もそうすることができるべきだ。それが公平ってもんだ」くらいの訳でしょうか。もちろん最後の「それが公平ってもんだ」は「ある人や状況は別の人や状況と同じように扱われるべきだ」と主張するために使われている表現なので、それを文脈に照らして日本語にしたものです。
他にも、学術的なところからは少し離れて、より生きた解釈のためにQuoraを見てみます。すると、こんなコメントが見つかりました。
So if a man was sleeping around, wife finds out and does the same thing she might tell a friend and say “What’s sauce for the goose is sauce for the gander.” The phrase suggests an element of revenge and of highlighting hypocracy.
この説明を日本語にすると、「…男性が色々な女性と関係を持ち、妻がそれを発見。自分も同じことをして、友人には“だって、おたがいさまよね”と。このフレーズは、復讐という要素を示唆し、偽善を強調するのに使われている」とのこと。
「おたがいさま」と訳しましたが、これは「あなただって同じでしょ、私にもその権利があるわ」というニュアンスを私なりに日本語にしたものです。何だか、毒々しい、復讐から来る行為や捨て台詞といった様相を呈しています。
他にも色々と例文を探していると、男女の話がよく目につきます。たしかに表現そのものが「ガチョウのメス」と「ガチョウのオス」で構成されているので、自然な気がしますね。
男女の公平性についてだけ使えるのか
それでは、この表現は男女の間にある公平性を訴えるためにだけ使われるのでしょうか。多くがそのような文脈で使われているものの、実はこれに限定されません。
男性同士であっても、女性同士であっても使うことができるようです。どちらにも共通しているのが「僕にだって/私にだって、あなたと同じように○○をする権利があるんですからね」と主張するのに便利な表現だということ。
「sauce」のバージョンもある
ちなみに、この表現は「what’s sauce for the goose is sauce for the gander」と言うこともできます。
ここで「sauce(ソース)」が使われているのは(日本人には馴染みが薄いですが)当時の食文化を反映したもので、「goose(ガチョウのメス)」や「gander(ガチョウのオス)」を料理の食材として同等に扱う(べきだ)ということです。
先に「…もある」と書きましたが、むしろこちらが本来の表現だと考えるのが妥当だと思われます。というのも、例えばこちらのページにあるように、古諺(こげん=古くからあることわざ)として「what’s sauce for the goose is sauce for the gander」があり、それが変形して「what is good…」のかたちも現れた、という考え方ができます。
同ページの説明にあるように、実は「what is good…」の方が、最近できたまだまだ新しい言い方なのかと言えば、全くそんなことはなく、1969年のイギリスのコメディー映画『What’s Good For The Goose』でタイトルに使われています。
さいごに
今回は「what is good for the goose is good for the gander」という面白い表現を扱いました。以下に特徴をまとめておきます。
- もともとは「what’s sauce for the goose is sauce for the gander」という古いことわざから来ている
- ある人が、他の人と同じように何かをする権利を主張する時によく使われる
- 特に男女間での平等さを言うときに使われがち
- 復習ややり返し、捨て台詞のニュアンスが強い
- 「一方言えることは、もう一方にも当てはまる」という訳語は逆に分かりづらい
- 訳の例①:おたがいさまね
- 訳の例②:それが公平ってもんだ
なかなか、会話でとっさに使うのは難しそうですが、少なくとも見聞きした時には理解したいものです。
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