フリーランスのお仕事をすると、決断・実行・対応の全てが「あなた」になります。個人で、あらゆるプロセスを担うということです。そんな中で、当然のように、理不尽なことを言ってくる人に出会うことがあります。私はありがたいもので、そんなことはほとんどありませんが、過去には大変な思いをしたことも多々ありました。
中には、いわゆるクレーマーもこれに該当する人もいます。
今回は、そんな面倒な、または、特別な対処法が必要になる顧客に直面した時の、私なりの怒りの抑え方をご紹介します。書籍にあるようなことは、今回は一切ありません。その代わり、全て、私が何年もフル活用してきて効果のあるものばかりです。
1. 相手の笑顔を想像する
いきなり、こんな提案です。面倒で「どうしたものか」と思ったら、まずは、落ち着いて、相手の笑顔を思い浮かべてください。怒りが溜まっていると、無意識のうちに、相手の悪い部分だけが強調されて、鬼か悪魔かのようなキャラクターが、あなたの頭の中で出来上がってしまいます。
顧客による無茶な要求に困ったときには、以下のような策が有効です。箇条書きにしましたが、あくまでも基本的な方針として頭の片隅に置いておく程度で大丈夫です。
- まずは冷静に:無茶な要求に対して感情的にならないように努めましょう。また、無理な要求をする相手にも丁寧かつプロフェッショナルなマナーで対応すること。
- 聞き取りと理解:相手の要求を正確に理解するために、丁寧に聞き取りましょう。その上で、ニーズや要望に対して、正確な情報や解決策を提供する。
- 柔軟な対応:可能な範囲内で、顧客の要望に対応できるように、柔軟なアプローチを心がけること。
- 助けを求める:時に、一人で厳しい要求に対応することは困難になります。助けを求められる仲間や知り合いがいれば、手を借りるのも一つの手です。
- コミュニケーションの質の向上に徹する:コミュニケーションの質を引き上げることを一つの目標に掲げる。信頼関係を構築する上で欠かせない要素です。また、効果的な解決策を見つけることにもつながります。
これらを意識することで、スムーズな、事業の成長につながる関係を築くことができます。とはいえ、実践は簡単ではありません。続きをご覧ください。
顔がわかるとなお良し
これは、相手の顔写真がある場合には、一番効果的です。私の場合、海外の相手とやり取りすることが多く、メールクライアントに自分の顔写真を設定している人が結構いるので、これが思わぬ効果を発揮してくれました。
とはいえ、これは非常にシンプルな「ジャブのような技」です。これがうまくいなかくても心配いりません。私はほとんどの場合、以下の2つの技を組み合わせて、自然と穏やかな気持ちになっています。
2. 「じゃあ、仕方ないよね」の魔法
今度は言葉から入りましょう。いらっとすることがあったら、なかば無意識で「仕方ないよね」と言ってみてください。口に出せればベストです。口から音として出すことで、より脳にはっきりとメッセージを届けることができます。
何かしらの事情がある
これを言うことの意味は、次の通りです。相手に同情して、その人の立場になって考えてみましょう。例えば、顧客が「ちょっと、うちのパソコンではこの書類が見れないんだけど、どうしてくれるんですか?」と言ってきたとしましょう。聞いてみると、あまりにも時代遅れのソフトを使っていました。
そんな物語があったのね…
そこで「最新版を維持することくらい、おたくの責任でしょう!」と言うことはできますが、代わりにこんな風に考えます。こう(勝手に)想定してみてください。その人には最愛の妻がいて、いつも、ソフトの更新をしてくれていた。そう、あの世へ旅立つ10年前までは。それ以来、彼は、酒に溺れ、ソフトウェアの更新なんぞ気にかけることもなく…。
「じゃあ、仕方ないよね」となりますね。もう、可哀想すぎます。相手の立場を考える、状況をおもんばかる、そして、寄り添う。そんな思考は非常に重要です。どれだけ「お堅い人」に見えたとしても、その人は、実は心のか弱い人かもしれません。偉そうに振る舞っている人でも、実は大きな問題を抱えて、気を病んでいるかもしれません。
元々の性格や習慣
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大きな悲劇や問題
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性格や習慣に大きな影響が
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その結果としてなら…むしろ同情したいくらい
上記のような考え方をすることを、是非とも習慣にしてみてください。感情的になりそうになったら、同情する。これが自然と行えるようになれば素敵なものです。
ここで一つ補足です。同情という言葉を使いましたが、決して「あぁ、可哀想なやつめ」という見下す目線を持てと言っているわけではありません。純粋に、相手の立場になって考えること。もし、フリーランスと顧客という立場でなかったらどうでしょうか?もし、その人があなたの親友、父、母、恋人だったら?見方が大きく変わるはずです。
全面的な否定は非生産的
私たち人間は、ちょっと気に入らない相手がいると「全面的にけがらわしく、性格が悪く、落ちぶれていて」というイメージを映し出してしまうものですが、本当は、あなたが思うよりも、まっとうな人間かもしれません(そうである可能性の方がむしろ高いです)。
たまたま悪い部分に直面しただけの話
その中の、ある問題が、何かの拍子に、表に出ている可能性だってあるのです。逆に言えば、私やあなたの「ちょっとしたよくない部分」が何処かの誰かに「うわ、この人全体的に嫌い」という印象を与えている可能性もあります。
ヒヤヒヤしながらも、反省するようにしたいものです。
3. 敵ではなく→友達になる
どうか、その相手を友達として見てみてください。ある程度の欠点があっても、自分の大親友であれば、大概のことは許せるものです。他の誰かが、その人のことを非難したとします。そんな時、あなたならどうしますか?擁護しますよね?真っ先に「あいつには、そんな面もありつつも、こんないいところがあって」と思考を働かせるはずです。
友達として擁護する
これを、面倒な相手に当てはめてください。私は、これを大いに活用しています。すると、毎回、気づきが得られます。「もっといい面がきっとあるはずだ」、「仕事が忙しくてイライラしていたのかもしれない」、「文面ほど悪い人ではないかも」などなど。一つの側面から全てを判断するのは、多くの場合、これだけで避けられます。
自分に嘘をつく必要もなし
大事なのは、自分に嘘をつかないことです。何か、その人が、人として許されないようなことを言ったとしたら「そんなことは無かった」と言う必要はありません。事実の揉み消しは不要です。むしろ、そんなことをしようものなら、消化不良の苛立ちやストレスが、いつかは爆発してしまいます。これを溜め込みと呼びます。避けましょう。
自分に嘘をつかないことで、心の内側で「でも、そんなのごまかしだ!」と反論して爆発しようとするもう一人の自分を自然なかたちで抑えることができます。
話を戻します。負の側面や、不完全な言動・行いがありつつ「あの人には、他のいい面が」という、広い目で見つめることが大事です。これだけで、自分を騙すことなく、怒りをフッと抑えることができます。
4. そもそも全てがあなたの認識
ここまで、何個か、簡単に実践できる方法をご紹介しました。しかし、これが一番重要で、是非とも実践してもらいたいものです。根本的な解決方法となると、むしろ、これしかないとも言えるでしょう。
答えは、あなたの認識を根底から変えることです。
先に何度か「面倒な人」のような表現をしてきました。実は、これは、あまり正確な表現ではありません。というのも、本当は「あなたが(または私が)面倒に感じている人」にすぎないからです。これは、主観でしかありません。
つまり、あなたがどうラベルを貼るかによって、その人は「いい人」にも「嫌な人」にもなるということです。これだけ聞いて「じゃあ好きになろう」と切り替えることは簡単ではありません。しかし、少しずつ意識していくことはできるはずです。
意識が介在することを意識しよう
意識について、大事な点がこちら。Aという事象があったとします。それがあなたの中で印象を構築する前には、Bというフィルターを通すことになります。これの例が以下の通りです。
- 事象Aの発生:ある顧客が「このデザイン、なんとかなりませんか」と発言した。
- フィルターB:あなたが、「うわ、なんくせをつけられた」と思った。
ものすごいシンプルに表現するとこんなかんじです。事象Aは、出来事です。事実として、顧客が「このデザイン、なんとかなりませんか」と言いました。そして、次の行にある「うわ、なんくせをつけられた」は事実ではありません。あくまでも、あなたの捉え方です。
どちらを変えることができるでしょうか?答えは、あなたのフィルターの部分です。相手の発言をコントロールすることはできません。ですから、あなたの考えを変えることに集中することをおすすめします。むしろ、そうするしか道はありません。
相手の発言は変えられないのですから。そこに固執して、相手を変えようとすると、人は苛立ちの無限ループに落ちてしまいます。相手を変えたい→必死で説得する/反発する→相手が変わらない→さらにストレスになる…といった具合です。
事実なのか考えなのか
これを行う上での第一のステップは「事実と考え」の切り分けです。自分の考えにより「うわ、なんくせをつけられた」と思ったのだ、と正しく状況を理解することです。そして、次に捉え方を変えるステップへと進むことができます。
詳しい説明はここでは控え、簡単な手法だけお伝えします。
他の認識の可能性も考えてみてください。顧客は「このデザイン、なんとかなりませんか」と発言した時に、どんな意図があり、どんな状況だったのでしょうか?
あなたにとっては「このデザイン、なんとかなりませんか」という発言は「ぶっきらぼう」かもしません。「文句の類い」だと考える人もいるでしょう。しかし一方で、顧客本人にとっては、ただ純粋に「デザインを変えて欲しい」という意思表示だけだったかもしれません。普段から、そのような言葉遣いをする人であり、そこに怒りや否定の気持ちは一切なし、という可能性も大いにあります。
詳しくは認知行動療法についての書籍を読んでみることをおすすめします。上でご紹介した、事実と考えを切り分けるステップは、認知行動療法の基本です。ちなみに認知と行動を変えるというのが、この両方の特徴ですが、ここで触れたのは主に「認知」の部分です。
まとめ
今回の記事の中で一番大事なのは、無理に感情を押さえ込まないことです。
徹底的な我慢や事実として起きたことの捻じ曲げは危険です。結局、自分に負担をかけることになってしまいます。そこで発想の転換です。相手に悪い(とあなたが思う)部分や、自分に人として至らない(とあなたが思う)部分があったら、それはそれで認める。その上で、今回ご紹介したいくつかの技を活用してみてください。
他には、距離を取る、いっそのこと仕事を断る、などの判断が必要になることもあります。仕事を受け入れるか、断るかの判断は最初は簡単ではないかもしれません。しかし、自分なりの基準を設けてしまえば意外と難しいことではありません。
また、これに関連して「知り合い、知人、近しい人」だからこそイライラする、ということもあります。主に、馴れ合いによるいい加減さが原因になることも。
私は個人的には、あまり近しい人(友人、家族、知り合いなど、もともと面識があるひと)のために仕事をしない、そして、そのような人を勧誘しないようにしています。これはどこまでプロフェッショナルな態度で接すればいいのか、どのあたりまでのいい加減さが許容されるのか、気持ち悪さや歯がゆさを感じてしまうからです。
この距離感について、人の考えはそれぞれでしょう。逆に友達からコネクションをつくることで仕事を軌道に乗せることができる人もいると思います。パターンとしては、表に立って積極的に人と話をすることが得意な方が、この方法を採用する傾向にあるように思えます。
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